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日本では総選挙が終わり、来年の参院選まではしばらく政界も落ち着きを見せそうだ。
選挙では自民党が第一党に返り咲いた。首相経験者である安倍晋三総裁に対しては総選挙前から、彼がかつて難病で総理を辞したことがあちこちで取り上げられた。日本人のワークエシックス(職業倫理)はかなり高いということだろう。
病気で職を辞することになった首相といえば、脳卒中などで倒れた大平正芳や小渕恵三がいる。だが、安倍氏に向けられたのは「胃腸の難病くらいでは辞めるな」ということなのだ。仮病ならまだしも難病なら仕方あるまい。もう1度くらいチャンスをあげてみればいいのではないかと思うのだが。
とにかく日本では一度辞めた人物がまた首相になった。そんな勤勉な日本とは正反対の国――失業率が高く、ワークエシックスも低いといわれることもあるイタリアでは、1度ならず3度も過去に首相を務めた経験のある人物が、首相復帰に色気を見せている。
シルビオ・ベルルスコーニ元首相だ。そして日本が安倍氏の復帰で騒がれているように、イタリアも揺れている。揺れているといっても、地震が起きたわけでも、サッカーの八百長でトップチームが降格させられたという話でもない。豪華客船の船長が乗客を見殺しにして逃げたわけでもない。
震源はベルルスコーニの過去のむちゃくちゃ具合だ。特にイタリア人の知識層はベルルスコーニの復活に頭を抱えることになるだろう。
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