本書の中に「震災を報じる」という項目がある。この中では、筆者が取材で接した大手メディアの記者たちの苦悶が描かれている。被災地の過酷な現状を伝えようとした現場記者たちに対し、一度も現地を見ようともしなかったメディア幹部たちとの間で暗闘があったこと、また現場記者が伝えられないストレスにさらされたことなどだ。
以下は、大手メディアとのやりとりを記した一節だ。
その夜、私は仙台のホテルに帰って、テレビの震災関連ニュースを見ていた。画面から流れてくるのは、震災からまだ二週間も経っていないのに「復興」ムード一色の物語ばかりだった。(中略)私は報道に違和感を覚えた。現地にいて感じるのは、人々は震災の悲劇の只中にいるということだ。(中略)なぜメディアはこうした現実をろくに報じず、明るい面だけをことさらに強調して、「いい国ニッポン」とか「がんばろう」という安っぽい言葉だけを連呼するのか。
この一節の中に、「2週間」という記述がある。この文字を「2年」に置き換えても、当時と現在の状況にあまり変わりがないと言ったら言い過ぎだろうか。
「あれから2年」のカレンダー記事、報道に邁進する大手メディア関係者は、同書を必ず読んでもらいたい。
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