無免許運転で4人を殺しても“過失”? 「法」と「常識」はなぜかけ離れているのか窪田順生の時事日想(3/3 ページ)

» 2013年03月05日 08時02分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]
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法律を操る者たちは“社会勉強”が足りない

 “法律のプロ”たちから見れば、感情に流された岡村さんは法律家失格なのかもしれないが、世間からは多くの支持を得た。彼は後にこんなことを言っている。

 じつは私も、いわゆる「人権派弁護士」の一人だった。現行の法制度に馴れてしまい、被害者の苦しみ、権利に思いを致すことがなかった。妻を亡くして、初めて常識に立ち戻れたのだ。(Voice2008年6月号)

 現行の法制度が実は歪んでいるということを、刑務所に入って気付いた人もいる。かつて「特捜のエース」といわれた検事時代を経て、ヤメ検弁護士(検事の仕事をやめて弁護士になった人を指す)として暴力団組長などの顧問をしたことで、「闇社会の守護神」と呼ばれた田中森一元弁護士だ。

 私は、3月中旬に発売する『別冊宝島』の中で彼の監獄体験をインタビューしているのだが、そこでこんな印象深いことを言っていた。

 刑務所に入ってわかったのは、受刑者の9割が自分を冤罪だと信じているということ。それは弁護士、検察、裁判官というこの3つがどれも機能していないから不満しかない。検事をやってきた人間からするとこれは本当にショックだった。

 そもそも罪を認めていないので「反省」などできるわけがない。出所者の再犯率の高さが問題になっているが、その原因は“血の通っていない司法”にも責任がある、というわけだ。

 法律を操る者たちがあまりにも“社会勉強”が足りないのではないか――。彼らの話を聞いていると、この国の司法制度が果たして本当にまともなのかと不安になってくる。

 我々“素人”の勉強不足であるのならいいのだけれど。

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