本書のまえがきに、こんな記述がある。
『1本の記事を書いて終りなのでなく、書ききれない事実もまた共有されるべき記録です。地方紙記者のもう一つの役割はそのように、記録する者である、と考えます』
まもなく3月11日を迎える。この日を前に、私の知り合いの在京メディア関係者が再び東北沿岸に向かっている。
他にも仕事がある、別の事件を取材しているから……。かつての同僚や同業者たちはこんな言葉を口にする。かくいう私も沿岸に足を向ける機会が確実に減っている1人。だからこそ、寺島氏が記した決意が重く感じられるのだ。寄り添い続けるという覚悟の質が違う。私を含め、多くの在京メディアが同氏や地元メディアの決意を知るべきなのだ。
本稿を書く直前、寺島氏からメールが届いた。その中に、こんな言葉がつづられていた。
『震災3年目は、「どこに帰るのか、帰れるのか」という厳しい選択を誰もが迫られる、一層重い年となりそうです』……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング