だから何だ、という声が聞こえてきそうだが、実は「関東内陸部」が前橋か否かで、あの「煙霧」の意味するところが全く違ってくる。
というのも、前橋市に「煙霧」が発生したころとときを同じくして、群馬県前橋市のPM2.5(微小粒子状物質)の測定値がドカンと急上昇しているのだ。
午後1時、大気1立方メートル当たり122マイクログラム超に達し、今年度最高の値を記録。1時間値85マイクログラムで自治体に「注意報」が出されることからも、この値がかなり深刻なことは分かる。
群馬県環境保全課は「原因は分からない」としているが、普通に考えれば、畑の砂も舞い上がるぐらいの強風だったわけだから、地表にあったPM2.5が舞い上がって数値があがった、となる。ということは、前橋周辺のPM2.5も北風にのって、ゆらゆらと東京まで南下していったのではないか、という推論が成り立つ。
気になるデータもある。3月10日に発表された東京都の「大気汚染地図情報」を見てみると、13時には汚染のない「緑」だったものが、14時には清瀬市や東村山市で汚染の強い「赤」があらわれている。
大気中濃度は1立方メートル当たり291マイクログラムと、前橋より高い。ちなみに、埼玉県幸手市でも15時に251マイクログラムを記録。浮遊するPM2.5が風で南下しながら集まっていったとしたら――。放射性物質の“ホットスポット”ができる現象と、同じようなことが起きたとは考えられないか。
確かにあれは「煙霧」だったが、黄砂同様にPM2.5を大量に含んだ“汚れた砂けむり”ではなかったか――。
もちろん、これはあくまで私の推測であって、「事実」でもなんでもないし、政府がこれを隠蔽しているだとか主張するつもりは毛頭ない。
ただ、この「煙霧」報道ひとつとっても断片的なニュースだけでは、物事の全体像はつかめない、ということが言いたいのだ。
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