そんなわりとありふれたものであるにもかかわらず、日本でマインドコントロールというと、すぐにカルト宗教や占い師とセットにされて「悪」とされる。確かに、統一協会やオウム真理教のイメージが強いということもあるが、そこにはマスコミの思惑があるのでは、と訝(いぶか)しんでしまう。
なぜかというと、実はこのマインドコントロールというテクニックを最もよくつかっているのが、ほかでもないマスコミだからだ。
暴力や恐怖などをつかって強制するわけではなく、心理学を応用して人の心を誘導する。実はそういうテクニックを民間活用したのが、広告やテレビだったりする。
この時事日想でも何度かふれたメディアの「スピンコントロール」(情報操作)を今から80年ほど前にはじめて確立したのは「広告の父」と呼ばれるエドワード・バーネイズという人物だ。
彼は医者に「ベーコンは健康にいい」「タバコにはダイエット効果がある」なんて言わせて、ベーコンやタバコを宣伝したり、奥さんの親戚筋である「ニューヨーク・タイムズ」に共産主義の悪口を書かせて、政府の反共キャンペーンを手伝ったりした。こういう商売をなぜ思いついたのかというと、叔父の影響がある。
ご存じの人も多いと思うが、その叔父の名はジークムント・フロイト。彼はかなりの変わり者で、人間には「無意識」というものがあって、それを読み取れば「精神分析」なんてのができると言い出した。
そんな叔父さんの本の英訳をしてやっていたバーネイズは、この理論をマスコミに応用したら、大衆を意のままに操れるのでないかと考える。そこで叩かれるのも織り込み済みで、「プロパガンダ」(世論操作)なんて挑発的な本を世に出してその名を轟かせた。それが「プロパガンダ」である。
こういうルーツからも分かるように、スピンコントロールとは「メディアを介したマインドコントロール」というわけだ。
事実、マインドコントロールとの共通点も多い。例えば、中島さんのように純粋な人ほどハマってしまうとか。有名人でいえば、鳩山由紀夫元首相なんかはその典型だろう。
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