抵抗を感じるのはどんな上司? 職場の行方を分析した博報堂・吉川昌孝のデータで読み解く日本人(1/4 ページ)

» 2013年04月09日 08時00分 公開
[吉川昌孝,Business Media 誠]

博報堂・吉川昌孝のデータで読み解く日本人:

 30年以上にわたり生活者を研究し続けてきた「博報堂生活総合研究所(生活総研)」。同研究所の主席研究員である吉川昌孝氏が、生活総研オリジナル調査「生活定点」などのデータを用いて、“時代の今とこれから”を読み解きます。

 「生活定点」とは、1992年から20年間にわたって隔年で実施している時系列調査。衣食住から地球環境意識に至るまで、人々のあらゆる生活領域の変化を、約1500の質問から明らかにしています。現在、生活総研ONLINEで20年間のデータを無償公開中。こうした生活者データから得られる“ターゲット攻略のヒント”はもちろん、ビジネスパーソンの日々の仕事に役立つ“データを読み解く技術”などもご紹介していきます。


著者プロフィール:吉川昌孝

 博報堂生活総合研究所研究員、および動態研究グループ・グループマネージャー。1965年愛知県生まれ。慶應義塾大学商学部卒、同年、博報堂入社。マーケティングプラナーとして得意先企業のマーケティング戦略立案業務を担当。2003年より生活総合研究所客員研究員となり、2004年より生活総合研究所に異動。2008年より未来予測レポート『生活動力』のプロジェクトリーダー。著書に『亞州未来図2010−4つのシナリオ−』(阪急コミュニケーションズ・共著)、『〜あふれる情報からアイデアを生み出す〜「ものさし」のつくり方』(日本実業出版社)などがある。2008年より京都精華大学デザイン学部非常勤講師。


 みなさん、こんにちは。博報堂生活総合研究所の吉川です。今回は日本の職場について。理想の上司ランキングが発表になるこの季節、逆に抵抗を感じるのはどんな上司なのでしょうか。「生活定点」調査では20年に渡って「女性の上司のもとで働くことに抵抗はない」という項目を取っています。また最新時点(2012年)だけですが、同時に「年下の上司のもとで働くことに抵抗はない」という項目も始めました。これらの比較から、日本の職場のこれからについて分析しました。

年下の上司よりも女性の上司への抵抗感が低い

 「女性の上司」への抵抗感のなさは年々上がってきています。20年前、3割強の33.5%が、最新年では6割以上の64.6%と倍近くまで上昇。この20年で「女性の上司」への抵抗感はほぼ半分になってきたと言えます。女性の社会進出の流れや男女共同参画社会の推進などの動きを考えれば、この数字の勢いは今後も上昇していく(女性の上司への抵抗感は薄れていく)と考えられます。

 それと比較すると「年下の上司のもとで働くことに抵抗はない」は現時点だけの数字ですが、48%とまだ5割に達していません。過半数以上の人がまだ「年下の上司のもとで働くことに抵抗を感じている」ということになります。この数字を「女性の上司のもとで働くことに抵抗はない」の時系列グラフに合わせてみると、1996年から98年のレベルで、今から15年以上前の「女性の上司」がまだ珍しかった時代のレベルとなります。そう考えると、やはり今はまだ「年下の上司」はあまり一般的なことではないのかもしれません。

 ただし、今後定年制の延長や高齢化社会の進展に伴い、社内の人口構成的に年下の上司=年上の部下が増えることは回避しがたい事実でもあります。こうした現実が着実に浸透することにより、徐々にこの数字は上昇(年下の上司への抵抗感減少)に向かっていくことでしょう。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.