日本で起業するのはなぜ難しいのか――アメリカのほうが優れている点仕事をしたら“新薬”ができそうだ(後編)(6/7 ページ)

» 2013年04月10日 08時01分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

人と違うことをやりたい

土肥:窪田さんは経営者になったので、研究することができなくなってしまいました。「あー、やっぱり研究したいなあ」と思うことはないですか?

窪田:創業当時は研究をしながら、経営に携わっていました。人と違うことをやるのが大好きなので「医者であり、研究者」「研究者であり、経営者」といったコンビネーションをもつほど、希少価値があるのかなと思っています。

 また、なにか違うことをやっていると「自分の人生にとってプラスになるのでは」とも感じています。例えば、医者の世界に戻ることになっても、経営に携わった経験は、私の人生にとってきっとプラスになるのでは、と。医者に戻って、うまくいくかもしれないし、うまくいかないかもしれない。ただ、うまくいかなくても、会社を経営する経験が自分の人生をきっと豊かにしてくれる、と感じています。

土肥:この連載「仕事をしたら○○が見えてきた」で、以前、リクルートを辞めて、中学校の校長を務められた藤原和博さんを紹介しました(関連記事)。いま、窪田さんがお話されたことと、同じようなことを藤原さんも話していました。

 「ひとつの領域で1万人に1人の存在になることは、ものすごく難しい。ところがふたつの領域を混ぜて、『100人に1人×100人に1人=1万人に1人』になることはそれほど難しくはありません。掛け算をすることで1万人に1人の存在になる。(中略)単線的な人生ではなく、複線的な人生のほうがいいのではないか。人生80年で、ひとつの山(会社)を登って終わり……というのはもったいない」と藤原さんは言っていました。

窪田:私は少年のころから「目」が好きだったので、今後も何らかの形で「目」に携わっていたい。ただ少しずつ違うことをやっていくことで、次のステップにいける可能性が高くなるのではないでしょうか。自分が伸び悩んだときに、違うことをやった経験が生きてくると思っています。

2013年1月、辻井伸行さんのピアノリサイタルにて(場所:シアトルシンフォニー)。演奏がはじまる前に、窪田さんが辻井さんを紹介している

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