こうした見出しが並んだ時期、皮肉屋の私はこれに疑問符を付けたわけだ。いくらハイスペックな新商品が誕生しても、肝心のソフトが決定的に不足していた。鳴り物入りで登場したわりに、最近ほとんど取り上げられる機会がなくなった3Dと同じ末路をたどるというのがその理由だった。
もう1つ懸念していたのが、コモディティ化だ。ここ数年、韓国だけでなく中国や台湾など新興国メーカーの追い上げはすさまじい。先に「新興国メーカーではマネのできない技術」が、早晩コピーされてしまうのではと考えていたことが、4K商品に対する懐疑的な見方の背後にあったのだ。
過日、世界中の民生電機メーカーや電子部品をカバーしているアナリストと会食する機会を得た。アナリストは、私の顔を見るなりこう告げた。
「アイバさん、少し前に4Kテレビに悲観的な記事書いていたよね」
そうだと返答すると、アナリストがこう付け加えたのだ。
「見通しはズバリ当たっているよ」
アナリストは、自分の取材ノートを取り出し、中から英文で書かれた資料を取り出した。チラりとしか見せてもらえなかったが、某台湾メーカーのロゴが見えた。要するに、某台湾メーカーの今年の新規設備投資計画の中に、4Kテレビ向けの新工場建設が盛り込まれていたのだ。
「早ければ2年程度で低価格で高精細な4K商品が発売されるよ。画に描いたような“コモディティ化”だ」
4Kテレビについては、韓国メーカーも商品を開発し、既に見本市に出品済み。日本、韓国メーカーの商品を買った台湾メーカーが中身を詳細に調べ、早くもこれを自社の製造ラインに組み込もうとしているわけだ。
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