「真面目に勉強しているのに評価されない」就活生には2タイプいるサカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(3/4 ページ)

» 2013年05月13日 09時01分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]

重要なのは「真面目に授業に出ること」ではなく、「自分で何かに取り組んだ経験」

 極端な例を挙げましょう。真面目に授業に出た、一生懸命勉強に打ち込んだ、なのに企業はまるでそのことを評価しない。真面目であることは損なことだ――そう怒っている就活生に「だったら、真面目に打ち込んだという成果を話せば良いよ。ゼミでどんなことに取り組んでいるの?」と質問したところ、妙な答えが返ってきました。「いや、ウチの大学ってゼミは必須じゃないので、取ってないです」と。だったら卒論はどんなテーマで書くの? と質問したところ、それも必須じゃないので今のところ書く気はないと言うのです。それじゃあ、一生懸命勉強に打ち込んだというのは、授業にサボらず出たということなのかと、さらに詰めて質問すると「それは評価されないのですか。他の学生はサボっている、自分は真面目に授業に出ている、それってそんなにダメなことですか?」と、涙目で反論されてしまいしまた。

 このコラムを読んでいるビジネスパーソンは「おいおい、真面目に出社しているだけで、全く成果が出せない人は企業内でもお荷物で、評価なんてゼロだよ」と冷たく言い放つでしょう。そう、ビジネス社会ではそれが常識。自分で取り組む機会があるにもかかわらず「必須ではないから」と、そのチャンスをみすみす放置してしまっている学生を、真面目だとも勤勉だとも、一生懸命学生の本分をまっとうしてきたと、採用担当者たちが思えないのは当然です。でも、自称「一生懸命勉強に打ち込んできた」のに評価されない就活生も、もう後には引けないのです。いまさらゼミにも入れないし、卒論を書いている暇もない。ただ、真面目に授業に出ただけなので、興味のある分野やテーマは何かと「突っ込まれて」も、答えることもできない。もっと早く言っておいてくれれば、ゼミにも入ったし、卒論だって準備したのに……と、必須でなかったことを恨むのです。

 自分のアピールポイントを探せと言われて「真面目に授業に出た」ということ以外に見つからないという就活生の中に、自分は学生の本分である勉強に打ち込んだと勘違いし、さらにそれが評価されないことを「真面目な人は馬鹿をみる」と、投げやりになってしまう人も意外にいることは、とても残念だし、若年層のキャリア教育において注目すべきポイントの一つであることは間違いないでしょう。

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