就活や転職、若年層を中心としたキャリアについて、仕事柄仕方なく詳しくなったサカタカツミが、その現場で起きている「当事者たちが気付いていないフシギ」について、誰にでもスルッと理解できるように解説するコラム。
使えない部下が毎年出現するのはなぜなのか? その理由も、垣間見えるはずです。
クリエイティブディレクター。1967年生まれ。長年、就職や転職、キャリアに関するサービスのプロデュースやブレーンを務めている関係で、就活や転職には詳しい。直近でプロデュースしたサイトは「CodeIQ」。著書に『こんなことは誰でも知っている! 会社のオキテ』、『就職のオキテ』がある。
個人的に書いている就活生向けのブログは、なぜか採用担当者たちから「読んでいて心が痛くなります。ホントに辛いです」という評価を受けている。Twitterアカウントは@KatsumiSakata。
赤坂見附の雑居ビルにあるある中華料理店で、ポーチャイファン(土鍋炊き込みご飯)を食べていた時のこと。編集長の吉岡綾乃さんが「美味しいけどすごいボリューム。残したくないけど、全部食べたら確実に眠くなる。午後からの会議や仕事に支障が出る。でも残すのはもったいないし……でも全部食べるとなぁ……」と、まるで呪文のようにブツブツと口にしていました。私といえば、それなら残せば良いのにと心の中でつぶやきながら、頭の中では「分かっているけど、後には引けない就活生」のことを思い出していたのです。
仕事柄、就活生からの相談をたくさん受けます。この時期あたりから増えてきて、秋頃にはそれこそ耳にタコができるくらい聞かされるぼやきの一つが、「企業は真面目に勉強している就活生を評価しない」というもの。
学校の授業はサボってばっかり、サークル活動やアルバイトにばかり精を出し、試験もノートを借りて一夜漬け。なのに、そういう学生に限って「ちゃっかり」内定(正しく表現すると内々定)を取っていると憤るのです。自分は一生懸命勉強に打ち込んできた、学生の本分は勉強じゃないか、なのにこの状態はおかしい、新卒採用というシステムは理不尽すぎる、というところまで話がヒートアップすることもしばしば。
本当に、学生が勉強をしてきたことを企業は評価しないのでしょうか。もちろんケースバイケースなので一概には言えませんが、ここのところ「きちんと評価する」という企業が圧倒的に増えてきました。時代の先端をいく研究をしている学生には助成金を出してサポートしたり、ジョイントベンチャースタイルで一緒に事業を行ったりというケースもあるくらいです。もちろん、卒業後は自社で働いて欲しいと迎え入れることも珍しくない。ここまで大げさな話でなくても、一定の研究成果を出していたり、ある分野において専門的に学んだりしていることを評価する企業はたくさんあります。そう、学生の本分を全うした人間をないがしろにすることはないのです。
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