「契約者貸付制度」の4つの落とし穴とは(2/2 ページ)

» 2013年06月24日 08時00分 公開
[三沢義将マネーの達人]
マネーの達人
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契約者貸付の4つの落とし穴

 では、ここで契約者貸付の4つの落とし穴を見ていきましょう。

1. 利率が複利で適用される

 保険会社から借りるお金となれば貸付金には利率が設けられ、その利率が年利・複利で適用されます。

 例えば、2%の利率が適用されている貸付制度で、100万円の貸付を受けたとします。貸付金を1年間返済せずにいると、翌年には102万円になります。さらに、その翌年には102万円の2%が付加されるので約104万円、さらにその次の年は106万円となり、返済額は年々増加していくことになります。

2. お宝保険は利率が高い

 お宝保険とは、一般的にバブル期前後に加入した保険のことを言います。予定利率が5.5%など、今では考えられないほどお得なものがありますが、契約者貸付を受ける際には返済利率も高額になることがあります。お宝保険の場合は解約払戻金の額も多くなりますが、その分返済額が多くなる可能性もありますので、貸付を受ける前に返済額や貸付利率を確認することが大切です。

3. 保険が失効してしまうこともある

 契約者貸付は、解約払戻金の範囲内であれば何度でも貸付を受けることが可能です。ただし、借りるだけ借りて返済をしないでいると、返済額が解約払戻金の額を超えてしまうことがあります。そうなると保険そのものが失効してしまい、保険の効力がなくなってしまいます。

 貸付金を返済すれば保険を復活させることはできますが、その時には返済額もかなり高額になっていることが予想されます。こんなことにならないよう、貸付を受ける場合は返済計画を立ててから借りるようにしましょう。

4. 祝い金がある場合、返済額を差し引かれてしまう

 貸付を受けてから返済せずにいた場合、複利運用されることで返済額が大きくなります。学資保険など満期がある保険の場合は、祝い金から返済額を差し引いた金額が祝い金として給付されることになります。

 例えば返済額が100万円で祝い金額が200万円の場合、差し引きされた100万円が祝い金として支給され、100万円は返済に充てられることになります。教育資金などのために貯めたお金であっても、返済額によって差し引かれた場合には、目的のために利用することができないということもありますので注意が必要です。

契約者貸付は一時的利用がベスト

 契約者貸付は自分の保険を利用してお金を借りられるのでとても便利なものではありますが、使い方を間違えると保険そのものがなくなってしまう諸刃の剣とも言えます。

 貸付金は「一括返済」「一部返済」「利息のみ返済」の3通りから選ぶことができますので、保険を有効に生かすために計画をたてた返済が必要です。貸付元金を増やさないように一時的に利息のみ返済をし、まとめて支払えるときに一括返済をするという方法もあります。

 保険はお金を借りるために加入するのではなく、目的に合わせて加入しているはず。一時的な貸付であれば良いのですが、そうではない場合には安易に契約者貸し付けを利用せず、普段の家計を改善することの方が先決です。(三沢義将)

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