犯罪者について、こんな記事が新聞やテレビで扱われます。
2日午後4時40分ごろ、埼玉県坂戸市の市立千代田小学校の教頭から「児童が襲われた」と、110番通報があった。県警によると、同小近くの公園で遊んでいた5年生の男児(11)と女児(10)が、男に刃物のようなものを押しつけられ、腕に引っかかれたような跡がついた。けがはなかった。男は逃走し、県警が暴行事件として調べている。(朝日新聞デジタル版7月2日)
こういう場合、2回目の「男」には英語であれば当然theがつきます。しかし日本語では、「男」という同じ単語が繰り返し使われます。その中には社会的憎悪が込められており、「男性」というもうひとつの単語を使わないことで、犯罪のような反社会的行為を行う人間であるという「特定」を行なっているわけです。
こういうところに日本語の特徴が非常によく出ています。「女」という表現も、犯罪者について頻繁に使われます。「女性」という単語は、好感を込めて使われるためにリザーブされていて、「女性に人気のカフェが、渋谷にオープンしました」などといわれることはありますが、「女に人気のカフェが」とはいいません。
日本語では言葉を選ぶ際に、社会的立場(上下、強弱、年齢、性別など)の相違に意識を集中することが期待されており、ロジックや数にはあまり意識が集まりません。ところが困ったことに英語では、まさにそこに微妙なニュアンスが置かれるのです。
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