日本人は気にしないAやTheが英語を支配するビジネス英語の歩き方(5/5 ページ)

» 2013年07月17日 08時00分 公開
[河口鴻三,Business Media 誠]
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国名にもtheが付く欧米、theがつかない日本

 今まで何度も、英語は自分の意思で話す言葉だと書いてきました。theとaの使い方も例外ではありません。この場合はどっちなんだろうと人に決めてもらうのではなく、話し手である自分が決めなくてはいけないものだと考える必要があります。

 そんなこと学校では教えてないよ、そんな答えを書いたら英語の点数が悪くなっちゃうよと思う人がいるかもしれません。でも、英語というのはそういう原理でできている言葉なのです。少なくとも米国で、過去400年くらい使われている間に、そういう言葉に進化(変化)してしまったのです。

 国の名前を例に取ると分かりやすいかもしれません。日本は英語ではJapanでThe Japanとは言いませんが、米国はThe United States of America。イギリスも正式にはThe United Kingdom。ともにTheをつけています。

 そこには「世界唯一の」という言外の気負い、自負というものが込められています。Theという単語を国名に入れるということは、そういうことなのです。おとなりの中国も英語表記としてはTheをつけてThe People's Republic of Chinaといっています。

 日本も世界に1つしかない存在ですが、日本という国名だけで、そこに政体に関する部分を入れる必要を感じません。おそらくほとんどの日本人がそう感じているはずです。きわめてまれな国だということがよく分かります。

 フランスも英語の正式名称は、The French Republicとなっています。共和制の革命を経ていますからリパブリックと入れたくなるのでしょうね。まったく日本は変わった国ですねと言いたくなりますが、他の国々が日本のようにたおやかになれば、そのほうがもっといいのかもしれません。

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著者プロフィール:河口鴻三(かわぐち・こうぞう)

河口鴻三

1947年、山梨県生まれ。一橋大学社会学部卒業、スタンフォード大学コミュニケーション学部修士課程修了。日本と米国で、出版に従事。カリフォルニアとニューヨークに合計12年滞在。講談社アメリカ副社長として『Having Our Say』など240冊の英文書を刊行。2000年に帰国。現在は、外資系経営コンサルティング会社でマーケティング担当プリンシパル。異文化経営学会、日本エッセイストクラブ会員。

主な著書に『和製英語が役に立つ』(文春新書)、『外資で働くためのキャリアアップ英語術』(日本経済新聞社)がある。


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