“激安ユッケ”の教訓は? 安易なタイアップは止めるべし相場英雄の時事日想(2/3 ページ)

» 2013年07月25日 08時01分 公開
[相場英雄,Business Media 誠]

 冒頭で触れた通り、昨今の民放ニュース番組を見ていると、この“一線”をやすやすと越えた内容の企画が多すぎるのではないだろうか。

 『大手◯△スーパーが激安お弁当を全国展開!』『大手すしチェーンが◯×サービスを期間限定で!!』などがそれだ。

 もちろん、夕刻の時間帯は主婦層が主要な視聴者であり、耳目を集めるテーマが必要、との理屈は理解できる。だが、いざ当該のスーパーやすしチェーンで問題が発生した際、番組担当の記者やディレクターはきっちり取材し、批判することができるのか。また、こうした大手企業は番組そのもののスポンサーだったりするケースもある。事件事故が起きた際、取材に手心が加えられるのでは? と勘ぐってしまうのは、元記者のうがった見方だろうか。

 また、ニュース番組が終わると、各局の編成はゴールデンタイムのバラエティー番組にシフトする。この際も、大手企業の工場に“潜入取材する”などと称し、お笑い芸人やタレントが企業の言い分だけを拾い上げ(というか、そういう台本に沿って)面白おかしく番組が展開していく。

 過日、大手広告代理店勤務の友人に聞いたところ、こうした一連の事象は「(代理店と企業にとって)非常においしい」との答えが返ってきた。

 要するに「なんの問題意識も持たない番組担当者はカモ。こちら(代理店や企業)が提供した素材とシナリオに沿って、ほとんど実費がかからない形で新商品や企業のアピールができる」からなのだという。

 某民放局報道関係者にこうした傾向について聞いたところ、「タイアップ企画はテレビマンとして最低の仕事」との返答があった。だが、制作経費節減が叫ばれる中、編成担当など上層部からの無言の圧力もあり、「なかなか抗えない」と弱り切っていたのが印象的だった。

広告代理店と企業にとって、タイアップは「おいしい存在」(写真と本文は関係ありません)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.