インタビュー
» 2013年08月08日 08時08分 公開

仕事をしたら“会社に足りないモノ”が見えてきた:コカ・コーラのようなマーケティングが、日本でできない理由 (5/7)

[土肥義則,Business Media 誠]

日本企業は企業価値を高めようとしない

山崎:東日本大震災後ですね。震災後、消費者の価値観は大きく変わりましたし、多くの企業は「企業価値を高めなければならない」と感じ、悩まれていました。でも、結局はほとんど変わりませんでした。

土肥:それはなぜですか?

山崎:企業価値を高めるためには、長いスパンで考えなければいけません。しかし、最近は効率性、ROI(投資収益率)などといったところに議論が集中しています。このほかにも、組織や人、予算といった理由もありますが……。

土肥:四半期で企業価値を高くしてよ……そんなことできますか?

山崎:難しいですね。

土肥:でも日本企業の言い分も分かりますよ。景気が悪いのに、そんな目に見えないモノにお金は出せない。10年先のことよりも、明日のパンですよ。あと「企業価値が高まった」としても、その指標が難しいのではないでしょうか。価値を高めることによって、具体的な数字がほしいですよね。そんな事例ってありますか?

山崎:では「シャングリ・ラ ホテル」の話を紹介しますね。ホテルというのは独自色を出すのが難しいのですが、シャングリ・ラは「見知らぬ人でも家族のように(接する)」というメッセージを打ち出しました。シャングリ・ラのゲストは出張中のビジネスパーソンが多い。出張は時に人を孤立させ、孤独を感じさせます。シャングリ・ラが、ゲストをキング(王様)のようにおもてなしするのではなく、ファミリー(家族)のようにおもてなしをすれば、孤独な旅はもっと居心地の良い旅になる――とブランドの理想像を再構築しました。

 そしてシャングリ・ラは、ひとりの男が雪山を歩いているクリエイティブをつくりました。下の写真は、そのシーンですね。

雪山を歩いているひとりの男性

狼がやってきて、一緒に寝る

土肥:狼が出てくるので、この男は襲われるのでは? と思いますよね。でも最後には、狼たちがその男性を温めてくれる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセスランキング
  • 本日
  • 週間