エアアジア・ジャパン、新体制はリゾート路線特化の「バニラ・エア」成田拠点の国際線LCCに(1/2 ページ)

» 2013年08月20日 12時48分 公開
[Business Media 誠]

 「新ブランド名は『バニラ・エア(Vanilla Air)』です」――格安航空会社(LCC)のエアアジア・ジャパンの新社長に就任した石井知祥氏は、11月から航空券の販売を始める新LCCのブランド名を高らかに発表した。成田を拠点に、国内外のリゾート路線に特化したLCCとなる。就航路線や運賃は9月下旬に発表し、12月下旬からの運行を予定する。会社名も「バニラ・エア株式会社」に改める。

Vanilla Air Vanilla Airのロゴマークと石井知祥社長。バニラの花びらは世界を結ぶ路線の広がりを表現。ブランドカラーのブルーは解放感と空や海、イエローは華やかさと楽しさ、太陽をイメージしている

 バニラ・エアは、ターゲットを若者からファミリー層、年配層まで幅広くとり、大手航空会社の半額程度となる競争力のある運賃、かざらずシンプルなシステム、安心感と安定感のあるサービス、そしてプレジャー路線としてのワクワク感を提供する。

 石井社長は、ブランド名をバニラ・エアにした理由を「『バニラ』は身近にありながら、常に高い品質が保たれている。それは作り手が手間を惜しまずに丁寧に栽培しているから。また、世界中の人から愛されている。例えば『アイスクリーム』といえばバニラを想像するくらい、多くの人に親しまれている」とコメント。利用者が分かりやすく、好みに合わせて自由に旅行をアレンジできるようなサービスを目指すという。

なぜエアアジア・ジャパンは失敗したのか?

Vanilla Air 石井知祥氏は2013年8月にエアアジア・ジャパン入社し、社長に就任。1974年に全日本空輸(ANA)に入社し2007年には同社営業推進本部副部長兼米州室長を務める。2010年に北海道国際航空(現AIRDO)に入社し、営業本部長を務める。

 2011年7月にマレーシアのLCC、エアアジアと全日本空輸(ANA)が共同出資して生まれたエアアジア・ジャパンは、大手航空会社の半額から3分の1という低運賃を打ち出し、運行初年度からの黒字をもくろんでいた。ところが、2012年8月1日に運行を開始するものの搭乗率で苦戦した。両社の考え方の違いもあり、2013年6月に合併の解消を発表する。

 石井社長はエアアジア・ジャパンの苦戦の理由を「チケットの販売システムを始め、日本人に受け入れられるサービス品質ではなかった」と断定。また、競合LCCと比べて航空機の追加投入が遅く、路線展開力が劣っていたとも指摘する。また、新会社移行にあたり、同じANAのマルチブランド戦略下にあるLCC「ピーチ・アビエーション」との統合は考えていなかったという。

 新会社は、ANAからエアバス「A320」2機をリースしてスタート。当面は、成田発着の国際線が中心になる。「国際線は稼働率が高く、客単価も高くなる。現在、成田を拠点とする国際線LCCの数は少ない。本格的な国際線LCCとしてマーケットを掘り起こしていく」とコメントする。

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