マレーシアのエアアジアは6月25日、同社とANAホールディングスとの合弁会社エアアジア・ジャパンについて、合弁関係の解消を正式に発表した。国内格安航空会社(LCC)の一角を占めていたエアアジア・ジャパンだが、同ブランドでのサービスを11月1日までに終了し、ANAの100%子会社として出直すことになった。
親会社であるエアアジアによると、所有するエアアジア・ジャパン株のすべてを24億5000万円でANAホールディングスに売却。11月1日までに社名を含めたエアアジアブランドの使用は終了し、エアアジアからエアアジア・ジャパンに貸し出されていた航空機も同日までに返却されるという。
2011年8月にANAとの合弁企業として設立されたエアアジア・ジャパンだが、コスト管理や国内の拠点空港のあり方をめぐって考え方が対立。ANAでは共同事業解消の理由を「日本マーケットに合致したビジネスモデルに改め、当社が主体的に当該社の運営を行えるようにするため」としている。
また、エアアジア・ジャパンからも以下のコメントが発表された。
「今回の合弁解消により、弊社の全株式をANAホールディングスが取得することになりました。弊社は2013年10月31日までエアアジア・ジャパン株式会社として営業し、その後は新体制のもと、引き続きANAグループの一員として、安全運航を前提に、成田を中心としたLCC事業を継続して参る予定です。
なお、新体制への変更に先立ち、一部運航スケジュール等が変更になる可能性もございますが、お客さまにはご迷惑をおかけすることのないよう、最大限対応させていただく所存です。今後、会社名やブランドが変更になりましても、社員一同、LCCとしてより多くの方に空を旅する夢を提供していきたいという想いを持ち、運航していくことに変わりはございません。今後とも、ご愛顧いただきますよう、何卒よろしくお願いいたします」
エアアジア・ジャパンは成田国際空港を拠点に、2012年8月に国内線、同年10月に国際線を就航。既存路線の3分の1程度の運賃を売り物として初年度からの黒字を目指したものの、競合と比べて搭乗率で苦戦し目標の80%に届かなかった。初代社長の岩片和行氏は就航4カ月で、同じくANA出身の小田切義憲氏と交替していた。
なお、エアアジアが運行する中長距離路線「エアアジアX」によるクアラルンプール線(羽田、関空)は従来通り運航を続ける。合弁事業解消にあたり、エアアジアのトニー・フェルナンデスCEOは以下のようにコメントしている。
「全日空に対しては歴史ある優れた日本の航空会社として敬意を持っていますが、われわれには別々の道を行くべきときが来たようです。エアアジアは最も得意とする真のLCC事業の展開に注力していきます。コストなどについての課題もありましたが、日本におけるエアアジアブランドの認知は進み、7月、8月は日本全体で大変好ましい利用動向を示しています。日本市場については現在も前向きにとらえており、エアアジアXの好業績が示しているようにLCC事業がさらに発展していく可能性があると信じています。日本の空の旅を変革するというわれわれの目標は変わらず、市場への再参入を検討しています」
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