日本で起きている皮肉な現象とは――留学生と採用の関係仕事をしたら“なんちゃってグローバル君”がいた(6)(2/6 ページ)

» 2013年08月21日 07時05分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

夏井:日本人留学生がたくさんいたころ、企業は彼らに興味をもっていませんでした。ところが急激に少なくなったここ数年、企業は留学生の採用に関心を持つようになりました。いま、こうした皮肉な現象が起きているんですよ。

土肥:そもそもなぜ日本人留学生はこんなに減ったのでしょうか?

夏井:その質問に対して、「若者の内向き志向が原因だ」と指摘される人がいますよね。確かにそうした若者が増えているかもしれませんが、私はその要因以上に、親の年収が大きく影響しているのではと思っています。

 日本経済は長く不況の影響を受け、親の収入が増えませんでした。いや、むしろ減っていったので、子供を留学させる余裕がなかったんですよ。例えば、米国の大学に留学させるのにどのくらいの学費がかかるかご存じですか?

土肥:お、その質問には答えられますよ。実は、このワタクシ、米国への留学経験がありますから。とは言っても20年前の話ですが、そのときで年間200〜300万円ほどでした。滞在費を含めて(もちろん学校や住む所によってその値段は変わる)。そのときも1ドル=100円ほどでしたから、いまも学費は変わらないのでは。

夏井:残念ですが、不正解。大学の授業料は年々増えていて、学費と滞在費を合わせれば、年間500〜600万円ほどかかるんですよ。

土肥:えっ、この20年間で2〜3倍になっていたんですか。

夏井:卒業までの4年間の留学コストは、単純計算で2000〜2500万円くらいになります。残念ながら、いまの日本でこれだけの教育費を支払える家庭は少ないでしょう。

 ちなみに米国では金融機関が学生に貸し出す制度があったり、奨学金制度も充実しています。それでも「学費が高すぎる」ことが、いま問題になっているんですよ。

サラリーマンの平均年収。減少したことによって、子供を留学させることが難しくなった!? (出典:年収ラボ)

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