「世界で戦う」ために、どんな準備をすればいいのか――そんなに難しくない方法仕事をしたら“なんちゃってグローバル君”がいた(3)(1/6 ページ)

» 2013年07月24日 08時28分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

仕事をしたら“なんちゃってグローバル君”がいた:

 グローバル人材とは、どんな人材を指すのだろうか。総務省のグローバル人材育成委員会では、このように定義している。(1)主体的に物事を考え、多様なバックグランドをもつ同僚、取引先、顧客などに自分の考えを分かりやすく伝える(2)文化的・歴史的なバックグランドに由来する価値観を乗り越え、相手の立場に立って理解する(3)相手の強みを引き出して、新しい価値を生み出すことができる――。

 分かったような、分からないような。そんな人って、本当にいるの?――このような受け止め方をした人も多いだろう。とにかく会社からはTOEICの点数を上げろと言われているので、とりあえず英語を勉強する。外国人と英語で仕事ができれば、グローバル人材になれるだろう……といった“なんちゃってグローバル君”にならないためには、どうすればいいのか。

 本連載「仕事をしたら“なんちゃってグローバル君”がいた」では、海外で活躍してきた先人たちの声を聞いていく。厳しい環境の下で、結果を出してきた人から学ぶべきことはたくさんあるはずだ。トップバッターは、世界で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出しているシンクタンク「ランド研究所」で唯一の日本人研究員を務めた田村耕太郎さんに話を聞いた。聞き手は、Business Media 誠編集部の土肥義則。


「世界で戦う」と決めたとき

田村耕太郎さん

土肥:前回、田村さんはこのような話をされました。グローバル化が進む中で「海外で働け」「海外で暮らせ」と言っているのではなく、「一度は見たほうがいい」と。日本の将来を悲観する人が多いが、これだけ豊かになって高齢化社会を迎える国は、歴史上ほとんどない。なので日本のどこかにチャンスがあるはず。それを知る意味でも、海外に行ったほうがいい――とも指摘されました。

 では「世界で戦う」と決めたときには、どのような準備をすればいいのでしょうか? 難しいことが苦手な私にでも、できるトレーニング方法ってありますか?

田村:決断の訓練でしょうね。

土肥:決断?

田村:常に「自分ならどうする?」と、自身に問いかけてください。例えば、会社に不満を感じている人は「自分が会社の社長だったらどうする?」「自分が部長だったらどうする?」と問いかけ、考えてください。

 多くのサラリーマンはこのようなことを言いますよね。「ウチの部長はダメだ。使えねえ」と。でも、部長という立場で仕事をするのはものすごく大変。「そんなに文句を言うんだったら、お前がやってみろ」と言われて、部長の仕事をこなせる人なんてほとんどいません。文句ばかり言う前に、その人物になりきって「オレならこうする」とか「オレならこうした決断をする」といった訓練が必要です。

 上司への不満を言い合って、自分たちの傷をなめあうことが悪い、と言っているのではありません。みんな人間なので、たまにはそうしたガス抜きも必要でしょう。ただグローバル社会の中で活躍している人は、決断ができるだけでなく、そのスピードが速い。最初から決断できる人なんていませんので、常に「自分だったらどうするか」を考え、決断の訓練を繰り返してください。

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