「グローバル人材」と聞いて、どんなことをイメージするだろうか。多くの人は「英語をペラペラしゃべることができて、異文化に興味がある」「海外展開している企業でバリバリ働いている」――といったことを想像するのでは。
30年ほど前の話である。記者がまだ中学生だったころの教科書には「グローバル企業」という言葉は使われておらず、「多国籍企業」と記されていた。20年ほど前には円高などの背景もあって、海外旅行をする日本人が急増。と同時に「国際」という言葉が使われ始めた。例えば、大学には「国際なんちゃら学部」が増えたり、学校名も「国際ほにゃらら大学」と改名したり。ジャーナリストの肩書きにも「国際」をくっつけて、「国際ジャーナリスト」と名乗る人もいた。
そして、10年ほど前からだろうか。「グローバル」という言葉が使われるようになったが、記者はどうも違和感を覚えている。それはこのフレーズを使うとき、危機感をあおるケースが多いからだ。「日本の家電メーカー、グローバル化の波に飲み込まれる」「人口減の日本にいては未来がない。グローバル化に対応しなければ、仕事がなくなる」といった悲観論が目立つ。
巷にはそうした言説が溢れているので、「このままではグローバル化に対応できない。とりあえず英語でも勉強しよう」という人が、あなたの周囲にもいないだろうか。英語力を磨き、自分を成長させることは素晴らしいことだが、何かしっくりこない。この感情をすっきりさせるためには、海外で活躍してきた人の声を聞くしかない。そこで本シリーズ「仕事をしたら○○」では、海外で結果を出してきた人にスポットをあて、「世界で活躍するためにはなにをすればいいのか。そして、その力をどのように身につければいいのか」といった疑問を解消したいと思う。
英語が話せるからオレはグローバル人材……といった“なんちゃってグローバル君”にならないためにも、先人たちの声に耳を傾けたい。トップバッターは、世界で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出しているシンクタンク「ランド研究所」で唯一の日本人研究員を務めた田村耕太郎さんに話を聞いた。早速、話を……といきたいところだが、田村さんはBBT大学で開かれた講演会で、グローバルをテーマに語っているので、その内容から紹介しよう。
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