LINE、NAVERまとめはなぜ強いのか?――LINE株式会社 森川亮社長8000字インタビューこれからの働き方、新時代のリーダー(3/7 ページ)

» 2013年09月04日 07時30分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]

 それから、iモード文化をスマートフォンに合わせた形で載せていくということ。日本は世界で唯一、モバイルのインターネットが活性化した国です。そのノウハウを生かしたいなという気持ちがあったんですよ。絵文字、デコメに始まり、ゲームとか占いといった、iモードのモバイルコンテンツを、LINEをプラットフォーム化して載せていこうという意識はありますね。

 あとは、僕らの強みである「デザイン」。スマートフォンですから、タッチパネルの大きな画面ならではの美しさとか使いやすさとか。多くのサービスが「IDとパスワードの登録が必須」という中で、電話番号と名前を登録すれば、IDやパスワードを入力しなくても使える、というのもそうですね。原則、電話番号だけです。PCやインターネットに不慣れな人でも使える、というところを意識したので、女性から流行ったのかもしれません。

――デザインに関係して、LINEのキャラクターについても教えてください。あれは社内のデザイナーが作ったものなのですか?

LINEのオリジナルキャラクターたち

森川: そうです。社内のデザイナーが手がけたもので、LINEの一番最初からあのキャラクターがいました。iモードで流行っているサービスって何だろう?という話をした中で、絵文字やデコメがあって、それをスマートフォンで具現化する中でどうしたらいいか? という中で生まれてきたのがあのキャラクターたちなんです。今はサブキャラクターも増えました。

 こう振り返るとうちは、けっこう当たり前のことばっかりやっている会社なんですよね。昔は奇抜なこともやっていたんですけど。でも、奇抜なことというのは作り手の考えで、実はユーザーには求められていないということがよくあって。突発的な思いつきとか、人をびっくりさせようという会社ではなく、「当たり前に必要なものに、僕たちならではの価値を入れて輝きを増していこう」というのが、僕たちの考え方なんです。

「仕様書を作らない」「リーダーシップを持っているのはデザイナー」

――LINEやそれに関連するサービスをリリースするスピードを見ていると、ものすごくサービス開発が速いイメージがあります。どんどん新しいアプリやサービスを提供していく、その速さの秘訣(ひけつ)は何ですか?

森川: うちの会社、ほとんど会議がないんです。多分普通の会社は、企画会議をして、担当者がプレゼンをして、何段階かで評価をして、最終決定をして……というやりかたですよね。うちはほとんど会議をしません。企画会議もやりません。仕様書も作りません。

――え、仕様書作らないんですか?

森川: 作りません。担当を決めたら、それで突っ走ります。よく「サッカー型」って言ってるんですが、役割を決めないんです。ボールを持ってる人がドリブルしてシュートする。うちの開発はそういうイメージですね。

――なるほど、サッカー。ピッチャーとかバッターとか、野球みたいに役割が決まっていないんですね。開発は、1チーム何人くらいなんですか?

森川: ものによって違いますが、本当にコアの部分は3人くらいでやっていますね。スマートフォンでいいなと思うのが、アプリごとに作れるので小さなチームで動けるということです。本当に少人数で動いて、足りなかったらマネージャーがフォローアップする、ということが自然にできる。

 うちでは(サービスやアプリの)コンセプトを具現化するのがデザイナーなので、開発するとなったら、まずデザイナーが絵を描きます。絵に沿ってUI(User Interface)やUX(User eXperience)を考え、プロトタイプを作ります。プロトタイプをいじりながら仕上げていくという方法なので、余計なプロセスがないから、それで速いんでしょう。

 あとは考える時間が短い。もちろん、コンセプトを考えるのには時間を使いますが、作り始めたら余計なことは考えない。だから(サービスを)作るプロセスが非常に短いんです。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.