LINE、NAVERまとめはなぜ強いのか?――LINE株式会社 森川亮社長8000字インタビューこれからの働き方、新時代のリーダー(5/7 ページ)

» 2013年09月04日 07時30分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]

「事業計画を出さない」

――以前、森川社長がインタビューで「事業計画書を作らないんですよ」と答えておられたのを聞いたことがあります。さっきの「細かく決めない、スケジュールを決めない」をもっと大きくしたような話ですが、根底にあるのは同じものなのでしょうか。

森川: 一番大事なものは何か? ということですよね。計画どおりやることが大事なのか、それともいいものを提供することが大事なのか? 計画を大事にしすぎるがためにいいモノを作れない、計画に合わせて妥協する、というシーンを僕はたくさん見てきました。でもそれだと、成功はしない。そこそこの結果しか出せないんです。

――でも普通、上場企業は計画を立てないわけにはいかないですよね。年何%成長しなさい、というゴールがあって、それが事業部別に割り振られ、各事業ごとにそれを達成するために計画を立てて……というのが普通の企業のやり方だと思うのですが、そういう計画を、本当に全然立てないのですか?

森川: あ、計画はしますし、開示もしていますよ。でもそれは計画というか「予想」なのかもしれない。今思うことは2つあって、1つは「うまくいってるから」というのはあります、確かに(笑)。うまくいってないのに計画も立てなかったらさすがにマズイですよね。もう1つは、計画を重視してそれを守りなさいと言ったときに、本当にモチベーション高くその仕事に取り組める人がどれだけいるのか? ということです。本当にいいものを作りたいときに、計画通りにできるものなのかな、っていう、それは僕の経験則なんですよね。

 有名な芸術家とかアーティストは、計画通りやっていないでしょう? 計画を見せられて彼らのモチベーションが高まるかといったら、それも間違いなくNOだと思いますしね。いいものを作る、ということを一番の目的にしたら、計画を守ることはそれほど大事なことではないはず。本当に優秀な人にとっては、それがいい環境なんじゃないかなと思っているんですよね。それと、計画を守ろうと思うと、どうしても妥協が生まれる。妥協してしまうと、そこそこの結果しか出ませんから。

 実はLINEも、事業計画にはないものだったんです。でもこういうサービスが生まれて、成功しているのを否定することもない。今のままでどこまでいけるかやってみたいな、という気持ちもあります。LINEに限らずですが、新しいサービスはあまり事業計画に盛り込まないようにしているんですよ。どうなるか分からないので。

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