では、そんな女性たちの声に対して、独身男性が「専業主婦になってほしい」と望むのは19.3%と5人に1人未満。生活が苦しいから、一緒に汗水たらして働いてちょうだいなというわけだ。
今の若い男は甲斐性なしね、なんてお怒りの声が聞こえてきそうだが、終身雇用も崩壊し、黙っていれば基本給が上がっていくなんて時代ではないのだから、男たちの苦悩もよく分かる。
こういう男女間の経済感覚の“ギャップ”を解消しない限りは、いくら戦前のように「産めよ増やせよ」と政府が大号令をかけても、大衆は踊らない。
稼ぎの少ない男たちが望むよう、「働く妻」を増やすか、あるいは専業主婦志向の女性たちに「カニばさみ」をしたい、と思わせるような銀行員的な高収入な若い男を増やすか。
実体経済が成長していない今、後者は難しい。だから、アベノミクスでは「女性の活用」ということを目玉に打ち出した。保育園を整備したり、長期の育休を認めたりして、もっと女性にも働いていただければ、「専業主夫」になりたい男たちも“父”になれる。
すると、どういうわけか、育休をとる女性にバッシングが始まった。エラい女の先生は「妊娠したら仕事をやめろ」とか言い出して、やたらと専業主婦を持ち上げる動きまで出てきた。例えば、大ヒットドラマ『半沢直樹』の妻・花は原作では、広告代理店勤務のワーキングマザーで、半沢から「自分の都合を優先させる女」と憎々しげに思われている存在だった。それがドラマではいつの間にやら、社宅の奥様会に顔を出し、夫をかいがいしく支える「専業主婦」に変更されている。
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