インタビュー
» 2013年10月09日 07時35分 公開

注目されている「広告」にはワケがある――それは仕事をしたら“広告のツボ”が見えてきた(前編)(5/8 ページ)

[土肥義則,Business Media 誠]

カンヌでグランプリ5冠を受賞

河尻:次に、今年のカンヌでグランプリ5冠を受賞した作品を紹介します。それはオーストラリアのメルボルン鉄道が出品した「DUMB WAYS TO DIE」というミュージックビデオ。メルボルン鉄道では子供の事故が多いらしく、“鉄道事故には気をつけましょう”というキャンペーンを展開しました。

 こうした交通広告って、お説教くさくなりがちですが、このキャンペーンは型破りでした。ゆるキャラ風のアニメキャラクターが登場するミュージックビデオをつくって、鉄道事故とはなんら関係がない“つまらない死に方”を列挙しているんですね。

 例えば、腐ったモノを食べたり、ピラニアに下半身を食べられたり、宇宙で宇宙服を脱いだり、乾燥機の中に入ったり――。で、「つまらない死に方でしょ?」と歌で強調する。肝心の鉄道事故に触れるのは歌の最後のほうになってから。つまり、鉄道事故というのは、他の“つまらない死に方”と同じくらい愚かなことですよ、というメッセージが込められているんですね。

土肥:いま、見させていましたが、確かに説得力がありますね。

河尻:まず親が見ますよね。そして子供に見せます。多くの子供が学校などで歌い始めると、メディアが取り上げる。そうやって爆発的に広がり、YouTubeにアップされている公共広告の中では最も話題になりました(10月7日現在6000万PV超)。いわば世界版の“みんなのうた”ですね。

 そして動画を見た人たちが、反応する。この曲を演奏してそれを投稿したり、ミュージックビデオに出てくるキャラを真似て同じように踊ったり、コスプレをしたり。そうした波及効果がスゴいんですよ。また制作側もそうしたことをある程度計算していて、双方向がやりとりできるイベントを仕掛けるんですよね。最初からメディアの枠に捕われていると、こうした発想は出てきません。

土肥:この広告でも、みんなが「参加」できるような仕組みになっているわけですね。

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