インタビュー
» 2013年10月09日 07時35分 公開

注目されている「広告」にはワケがある――それは仕事をしたら“広告のツボ”が見えてきた(前編)(6/8 ページ)

[土肥義則,Business Media 誠]

世相を反映している広告

河尻:もう1つ、「世相を反映しているなあ」と感じられる広告を紹介しますね。それはスペインにあるマットレス会社の「My Mattress Saving Bank」というもの。

 スペインの経済状況って、一時より改善されたとはいえあまり良くないですよね。金融機関で取り付け騒ぎが起きるかもしれない……そんな物騒な報道もありました。そうしたニュースに触れると、お年寄りは不安になりますよね。自分が働いてコツコツ貯めてきたお金なのに、金融機関が破たんしたらそれがなくなるかもしれない。

 そんな世相を反映して、このマットレス会社は「金庫付きのベッド」をつくったんですよ。寝ているときでも自分の下に金庫があるので安心ですよ、というわけです。

土肥:えー、でもベッドの下に金庫をつくるなんて、ちょっと変わったアイデアですね。逆に、泥棒に狙われそう(苦笑)。

河尻:そうなんです。動画で見ると「ホントに大丈夫ですか? これ?」みたいな代物です。しかし、テレビやネットで話題になり、実際に商品はそこそこ売れました。なにより、この会社の名前が知れ渡りました。つまりこの場合、商品は話題作りの“ネタ”でもあるんですね。

 スペインの経済状況は悪い。いまこの国はどういう状況に置かれているのか――広告はその部分にも切り込んでいかないと、時代に届くコミュニケーションになりません。話題にもなりませんし、結果的にモノが売れなくなってしまうんですよね。何をやっている“人”なのかが見えづらくなって、激しい競争の中で埋没してしまうわけです。

 企業を人に例えましたが、自分の「売り」をアピールばかりする人って、あまり好かれないですよね。SNSが普及してきたので、ますますそういう時代になってきているのではないでしょうか。世界の優れた広告事例を見ていると、そういうことが分かってきました。

土肥:なるほど。

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