就活や転職、若年層を中心としたキャリアについて、仕事柄仕方なく詳しくなったサカタカツミが、その現場で起きている「当事者たちが気付いていないフシギ」について、誰にでもスルッと理解できるように解説するコラム。
使えない部下が毎年出現するのはなぜなのか? その理由も、垣間見えるはずです。
クリエイティブディレクター。1967年生まれ。長年、就職や転職、キャリアに関するサービスのプロデュースやブレーンを務めている関係で、就活や転職には詳しい。直近でプロデュースしたサイトは「CodeIQ」。著書に『こんなことは誰でも知っている! 会社のオキテ』、『就職のオキテ』がある。
個人的に書いている就活生向けのブログは、なぜか採用担当者たちから「読んでいて心が痛くなります。ホントにつらいです」という評価を受けている。Twitterアカウントは@KatsumiSakata。
「最近、編集長の吉岡綾乃さんとのランチの写真がありませんね」と、ある場所でご一緒させていただいた方から、突然聞かれました。「私としては、パンケーキを食べに行ったり、エスニックなアヒル料理に舌鼓を打ったりしたいのですが、2人のスケジュールがなかなか合わないことと、写真と本文が関係なさ過ぎるだろうという突っ込みがこのコラムに対して減ってきたこともあって。マンネリを打破しているのです」と話すと「そうでしたか、殻を破るって大変なことですね」と言われてしまいました。いや、そんな大げさな話ではないのですが……。
「殻を破る」と言えば。ある企業の採用担当部長と雑談をしているときに、こんな質問をされたことがあります。
最終面接まで進んでいる就活生がいて、とても素晴らしい逸材だ。コミュニケーション能力も高いし、人間性も申し分ない。ただ、彼は総務系の仕事に就きたがっている。おそらく経理を希望しているのだと思う。しかし彼の適性は営業系であり、少なくとも総務や経理では採用できない。でも惜しい、なんとかしたい……と。
「とりあえずその彼を入社させて、『総務系の仕事じゃなく営業系の仕事が向いているから、まずはそちらからやりなさい』ってやりかたはどうでしょうか。やはり誠実さに欠けますかね?」
なるほど、そういう気遣いをしている時点でなかなか誠実だなと思いつつ、いくつかの質問を私から投げてみました。「まずは、正直に話してみたらどうでしょう? その選択肢はありませんか」という質問。営業系の仕事ができる人材としては最高評価で、文句なく内定を出したいと思う。しかし残念だが、君が希望している総務系の仕事はウチでは用意できない。そうシンプルに説明してはどうでしょう、と聞いてみたのです。
「いや、そうしたらよそに行ってしまうかもしれない。目の前にいる素晴らしい人材を取り逃がすことが、採用担当者としてどれだけ辛いか、サカタさんならご存知じゃないですか。それはなんとしても避けたいのです」
ならばと、次の提案をしてみました。とりあえず、総務系の仕事につけてみたらどうでしょうか、と。ひょっとすると採用担当部長の「良い意味での見込み違い」が起きて、総務系の仕事にも適性を発揮するかもしれない。それだけ取り逃がしたくない逸材なら、彼のために自分の手元のポストを一つ用意するという方法も検討できるのではないか。そう提案すると「その案はないです」とキッパリと否定します。彼は営業系の仕事に就くことで輝ける人材であり、自分の部下として、総務経理系の仕事には向いていないはずだと。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング