直接的な節税ではないが、個人事業主にとって国民健康保険は大きな負担だ。国民健康保険料(地域によっては国民健康保険税)は、地方自治体が独自の計算方法を採用している。2013年(平成25年)から計算方法を統一する動きがあるが、まだ地域差は大きい。
筆者が住民票を置いているのは自宅がある愛知県名古屋市。2013年から事務所を借りているのが神奈川県川崎市。国民健康保険の計算式は少々複雑なのでこの2つの地域を比較してみよう。条件は40歳独身の場合と、夫婦とも40代で子どもがいる場合だ。
所得 | 名古屋市 | 川崎市 | 差額 |
---|---|---|---|
200万円 | 28万3240円 | 26万0030円 | 2万3210円 |
400万円 | 54万3640円 | 49万7030円 | 4万6610円 |
600万円 | 72万7650円 | 66万9080円 | 5万8570円 |
条件:40歳独身(介護分保険者1人) |
所得 | 名古屋市 | 川崎市 | 差額 |
---|---|---|---|
200万円 | 31万3900円 | 30万9810円 | 4090円 |
400万円 | 57万4300円 | 54万6810円 | 2万7490円 |
600万円 | 75万3350円 | 70万0600円 | 5万2750円 |
条件:40代夫婦、子ども1人(介護分保険者2人) |
所得や世帯条件などにより差はあるが、名古屋市より川崎市に住んだほうが国民健康保険は安くなる。住民税の税率は基本的に全国一律だが、名古屋市は数少ない住民税の税率が低い市(−0.3%)。逆に神奈川県は全国で唯一県民税の税率が高い県だ(+0.025%)。その差は0.325%。課税所得が200万円の人だと6500円。サラリーマンなら名古屋市の方が得だが、個人事業主なら川崎市に住んだほうが国民健康保険が安いことによるメリットがありそうだ。もし引っ越しをする、家を買うという場合は、該当する地域の国民健康保険を確認すると節約できるかもしれない
国民健康保険を安くする方法の1つが、国民健康保険組合に属することだ。例えば、文芸美術国民健康保険組合には、いけばな協会、日本書道連盟、日本アニメーション協会、日本演劇協会、日本サインデザイン協会、日本写真家協会、日本推理作家協会、日本漫画家協会……など多くの文芸団体が所属していている。これらの団体に所属して国民健康保険組合に入れば、40歳独身で年額22万800円(文芸団体の年会費等含まず)。国民健康保険より保険料が大幅に安くなる可能性が高い。
2000年に木村税務会計事務所を設立。ブロガー税理士の草分け的存在。セミナー講師や執筆について多数の実績があり。カフェ好きが高じてオフィスをカフェ風にしてしまったほど。ブログでは税金に関するトピックだけでなく、カフェラリーのデータも掲載中。
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