欲しいPCがあるけど10万円以上するから消耗品費にはできない。あるいはガッツリもうかったからタブレットとかデジタルカメラとかチマチマしたものじゃなく、100万円を超えるような大きな買い物をしてドカンと節税したいと思う人もいるだろう。
10万円以上のものは消耗品ではなく固定資産として処理をする。資産により耐用年数が決められていて、PCは4年(48カ月)、カメラは5年(60カ月)、クルマは6年(72カ月)などと定められている。
例えば12万円のPCは48カ月に分割して経費計上するので、1カ月に2500円ずつ経費となり、その価値が徐々に減っていく(減価償却)ことになる。年末にあわてて買っても経費になるのは12月の1カ月分(2500円)だけだ。これでは節税にならない。同様にクルマも72カ月に分割して経費計上するので、180万円のクルマは毎月2万5000円ずつ経費となる仕組みだ。
「ダメじゃん。あのPC欲しかったのに」と諦めるのは少し早い。減価償却には特例がある。10万円以上20万円未満の資産は一括償却資産として3年で均等に割って償却できる。12万円のPCならば12月に購入しても4万円が経費になり、翌年も4万円、翌々年も4万円を経費として計上できる。
4万円分だけ経費……2500円よりはましだが、少々不満が残る。まだ手はある。「青色申告とは? 白色申告とは?」の最後に、青色申告している人には減価償却の特例があると書いた。青色申告をしていれば10万円以上30万円未満の資産は「少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例(措置法28の2)」により、その年に全額を経費として落とせるのだ。
これを利用すれば、12万円のPCを年末に購入しても全額がその年の経費だ。さすがにクルマを買うのは無理だが、上限は30万円未満なので話題の3Dプリンターなどチョットした設備も対象になるだろう。合計金額は年間300万円なので、10万円以上30万円未満のものを複数購入しても全額経費にできる。
常に業績が安定していて税率が同じなら、固定資産を耐用年数どおり数年に分けて償却しても、特例を使って1年で償却してもトータルの節税額は同じとなる。業績の浮き沈みが激しい場合は、もうかった年に償却したほうが節税効果が高くなるので、不安定になりがちな個人事業主は特例を上手く使うと納税額を減らせる。
販売価格が35万円のフルサイズ一眼レフは、減価償却の特例の上限金額を超えているので、1年で経費として落とせない。いつもカメラを買っているお店のポイント還元が20%で、実質28万円で購入できるとしてもだ。
だが、現金特価セールで29万5000円で販売している他店で購入すれば、特例が適用できるので全額をその年の経費にできる。実質28万円と比べると少々割高になるが、節税効果を考えるとお得かもしれない。
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