自販機の一等地は「左上」? 人の視線を追いかけたら“常識”が覆った仕事をしたら“缶コーヒー”が売れた(4/7 ページ)

» 2014年03月26日 10時27分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
アイトラッキングで分析したところ「左上」はあまり見られていないことが分かった

正本: スウェーデンのトビー・テクノロジー社が開発した眼鏡型の装置を使って、お客さまが自販機で飲みモノを買う際に、どの部分を見ているのかをエリア別に分析しました。

 その結果、「左下」に視線が集まっていることが分かったんですよ。これには驚きましたね。というのも、従来のマーケティングでは「『左上』が最も見られている」と言われてきました。これは自販機だけでなく、スーパーやコンビニの棚でも「左上」と信じられてきました。まず「左上」を見て、アルファベットの「Z」の形で右下まで目を動かす――これが常識でした。

土肥: その常識は、誰も疑わなかった?

正本: 疑うどころか、何も考えずに信じていました。その証拠に、弊社では主力商品の缶コーヒーはずーっと自販機の「左上」に置いていました。でもアイトラッキングで分析したところ「左下」ということが分かった。

土肥: 「なんや、みんな『左上』見てないやん」といった感じ?

正本: です、です。分析結果を受け、2013年の春に、缶コーヒーを「左下」に置くようにしました。その結果、売り上げが数十%アップしたんですよ。

土肥: それはスゴい!

正本: もちろん、売り上げがアップした要因のすべてがアイトラッキングだとは思っていません。リニューアルや広告などの効果が重なって、好結果につながったんだと思っています。

 しかし、ですね……いわゆる“コンビニコーヒー”が急速に普及した影響を受けて、その後は売り上げが伸び悩みました(涙)。

アイトラッキングで分析する前は主力商品の缶コーヒーは「左上」に置いていた(左)、分析後は「左下」に置く(右)

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