就活や転職、若年層を中心としたキャリアについて、仕事柄仕方なく詳しくなったサカタカツミが、その現場で起きている「当事者たちが気付いていないフシギ」について、誰にでもスルッと理解できるように解説するコラム。
使えない部下が毎年出現するのはなぜなのか? その理由も、垣間見えるはずです。
クリエイティブディレクター。1967年生まれ。長年、就職や転職、キャリアに関するサービスのプロデュースやブレーンを務めている関係で、就活や転職には詳しい。直近でプロデュースしたサイトは「CodeIQ」。著書に『こんなことは誰でも知っている! 会社のオキテ』、『就職のオキテ』がある。
個人的に書いている就活生向けのブログは、なぜか採用担当者たちから「読んでいて心が痛くなります。ホントにつらいです」という評価を受けている。Twitterアカウントは@KatsumiSakata。
先日、青山一丁目の「こんなところにあるの?」というロケーションにひっそりと店を構えているエスニック料理店で、編集長の吉岡綾乃さんとランチを取っていた時の話。綾乃さんは私に対してこんな風に切り出してきました。
「サカタさんの連載、『就活・転職のフシギ発見!』と題して結構長いことやってきたわけですが……その間に、就活のフシギや転職のフシギは、少しでもなくなってきているのでしょうか?」
話があると呼び出されたものですから、私はてっきり連載の打ち切り通告だと覚悟してのランチタイムだったのですが、予想外に鋭い質問を受けて、ちょっと言葉に詰まってしまったのです。
……確かに、就活や転職のフシギは発見され、解明されたのだろうか。
今日は3月31日。エイプリルフール前日ということで、もともとはもっともらしい嘘のケースを紹介し「俺もたまには時流に乗ってみたら、日付を間違えてしまった」コラムを書く予定だったのですが、就活や転職の「イマドキのフシギ」について、少しだけ整理してみたいと思います。
以前、ある就活生向けのメディアの中で、私はリクルートスーツについて、こんな指南を書いたことがあります。
「リクルートスーツなどは存在しない。就職試験を受けるのだから、身だしなみは整えるべき――ではあるけれども。ビジネスシーンにふさわしい格好がベスト。濃紺やグレーのスーツでも、まったく問題はない」
すると、それを読んだ就活生から、以下のような内容のメールをもらいました。
「就活生がみんな同じブラックスーツを着ているのに、1人だけ違うと浮いてしまうし、そういう状態はどう考えても望ましくないと思う。ある大手都市銀行の採用担当者は、違うスーツを着ている就活生に、どうして違う色のスーツを着ているのかと必ず質問すると聞いています。そして、そういうところで個性を発揮したがる学生は、ウチには要らないというそうです。『黒じゃなくてもいい』などと書いて、学生を惑わせるのは止めてください」
要はクレームです。このメディアの読者である、すでに会社で働いているビジネスパーソンの皆さんならは、この学生のクレームを読んで、重要なポイントに気がつくでしょう。「1人だけ浮いてしまう」ことを躊躇(ちゅうちょ)するなどおかしい、という指摘もあるでしょうが、それはそれとして。
「ある銀行の採用担当者が、違うスーツを着ていると、そういう部分で個性を発揮したがる就活生はいらない、という話を聞いたことがある」
……という部分。銀行がメーカーになったり商社になったりしますが、どの業界でもストーリー的には変わりません。クレームのメールを書いてきた学生が直接体験したことではない、いわゆる「都市伝説」が流通しているのです。
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