こうした状況には、いくつか理由がある。Orbit(オービット)やJuicy Fruit(ジューシーフルーツ)などといった人気ガムブランドを販売しているWrigley(リグレー)を傘下にもつ、業界世界第1位の、Mars Inc.(マース)によるとガムの消費量が著しく減少しているのが、25歳以下の消費者。若者の嗜好(しこう)が変わり、チューイングガムよりもタブレット菓子やグミを購入する人が増えている、というのだ。
若者が離れている背景には、皮肉なことにガムの味があるようだ。どんなに改良してもすぐに味がなくなってしまうガムと違い、タブレット菓子やグミはフレーバーが楽しめるのが最大の魅力。食感や味を自由に開発できるので、新商品も続々登場している。例えば、ガムとタブレット菓子のいいところをミックスした、「ハイブリッドなタブレット菓子」は「ガムのような食感で、タブレット菓子のように溶ける」のがウリになっている。ジューシーさや、リアルなフルーツ感を強調したグミも売り上げ好調だ。
ガムと違い、食べ終えた後にゴミにならないのも、今風に言えばエコで好印象だ。吐き捨てられたゴミが街の美化を損ねると、悪者扱いされてきたガムとは大違いだ。地球環境問題にことのほか興味のある若い世代には、刺さるポイントだろう。
とはいえ、ガムメーカーもこの問題に取り組んでいないわけではない。業界大手のリグレー社が、吐き捨てられても剥がしやすいようなガム素材を積極的に開発している。新素材でコンクリートから剥がしやすく改良されたガムは、公共エリアの清掃費を削減できるとか。ただし、その努力が消費者に響くかは別問題だと思うが、イメージアップには多少の効果があるかもしれない。
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