誰かと誰かを結びつけるビジネス――マッチングモデル「王道」のビジネスモデル(1/3 ページ)

» 2014年04月21日 08時00分 公開
[細谷功,井上和幸,西本伸行,Business Media 誠]

集中連載、「王道」のビジネスモデルについて

本連載は、細谷功、井上和幸、西本伸行著、書籍『ビジネスモデル×仕事術』(日本実業出版社刊)から一部抜粋、編集しています。

ビジネスモデルの世界には、コピー機の消耗品販売や広告で利益を得るなどの、長く続いているものが多くあります。これらは流行りものとは違い、長い年月の中で生き残ってきたものなので、それなりに安定して利益が上げられると言えます。成功している企業も多いので、参考にしやすいというメリットもあります。

本連載では、そのような安定感のある「王道」のビジネスモデルを
 トライアルモデル
 マッチングモデル
 冠婚葬祭モデル
 特売モデル
の4つに分けて紹介します。

なお、個人の仕事についても、これらのビジネスモデルから安定した働く基盤作りのヒントが得られるでしょう。


 マッチングモデルは、顧客同士をマッチング(紹介)することによって、紹介料を得て利益を上げるモデルです。

 家を借りたり買ったりするときを想像してもらうと分かりやすいですが、世の中には、借り手と貸し手、買い手と売り手など違う種類の人たちが出会うことによって、取引が成立するビジネスが存在します。まったく見ず知らずの人達が偶然出会うことはなかなかありません。皆さんも家を借りようと思ったとき、とりあえず不動産会社や不動産の紹介サイトに行って、物件を探す場合がほとんどだと思います。

 逆に言えば、それ以外の方法で家を探す方法はあるでしょうか。

 個人が自分の力だけで物件情報を集めることは難しいことです。自分で集めることができない情報を提供してもらうために、不動産会社が集めた物件情報を紹介してもらい、その対価として紹介料を払うのです。

 マッチングモデルは、個人では出会うことが難しい場面において、豊富な情報を提供することによってマッチングを促し、最終的に紹介料で利益を得るモデルなのです。

 マッチングモデルにおける最大のコストとなるものは、マッチングする人やものを集めるためのコストです。

 我々が不動産の物件情報を自分で集めることが難しいように、マッチングする人やものを集めることは非常に大変です。大量の広告を出したり営業担当が足で稼いだり、あの手この手で情報を集めてくるのです。これがマッチングモデルにおけるコストになりますが、この情報量が非常に重要になるため、コストをかけてでも集めてくる必要があるのです。

 マッチングモデルではこのようにマッチングする人やモノをどれだけ集められるかが生命線となりますが、ただ集めるだけでなくバランスも重要です。

 不動産会社で考えると、物件情報をたくさん持っていても、借りたい人がいなければ利益を上げられませんし、その逆も同じです。両方を集めて、マッチングさせてこそ成り立つのです。これがマッチングモデルのビジネスの難しい部分とも言えます。

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