限界に来た家電量販店のビジネスモデル(1/2 ページ)

» 2013年07月03日 14時20分 公開
[日沖博道,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:日沖博道(ひおき・ひろみち)

パスファインダーズ社長。25年にわたる戦略・業務・ITコンサルティングの経験と実績を基に「空回りしない」業務改革/IT改革を支援。アビームコンサルティング、日本ユニシス、アーサー・D・リトル、松下電送出身。一橋大学経済学部卒。日本工業大学 専門職大学院(MOTコース)客員教授(2008年〜)。今季講座:「ビジネスモデル開発とリエンジニアリング」。


 最近の家電量販店に関するニュースは冴えないものが多い。大手4社(ヤマダ電機、ビックカメラ、エディオン、ケーズHD)の直近の連結業績は軒並み大幅減益で、業界3位のエディオンは初の営業赤字、2位のビックカメラはコジマ買収前の経常利益水準にすら届かなかった。1位のヤマダ電機は全取締役降格という異例の人事が話題になった。

 家電量販店は、PCや薄型テレビといった具合に、電機メーカーが次々に生み出す新製品で伸びてきた。ところが地デジ放送への切替時に先食いした「薄型テレビ需要」を継ぐ大型商品が途切れてしまっており、それが今の不振の主因だという説が有力らしい。

 確かに、スマホやタブレット端末といった情報家電の新製品はその後も続々と登場したが、前者はケータイショップで買うのが主流だし、後者はノートPC需要を食いこそすれ、家電量販店で爆発的需要を生んでいるとは聞かない。次世代薄型テレビといわれた3Dテレビは観るべきコンテンツが供給されないまま、最近は話題にもならない(わが家でも3Dメガネはしまわれたままだ……)。

 そもそも日系大手家電メーカーが赤字に苦しみリストラ中なのだから、昔のようにどんどん新商品が開発される状況でもない(アイリスオーヤマは別だが)。家電量販店の大量仕入・大量販売という収益モデルの前提であるメーカーの販売リベート総額が縮小しつつある中、バイイングパワーを少しでも維持したいがために業界再編劇を繰り返すという構造に陥っている。

 何より問題なのは、品定めのために来店するが、実際の購入はネット通販で行う消費者の割合が急増していることだ。俗にいう「ショールーム化」現象である。商品説明だけさせられる販売員はたまったものではないが、客が本当に買う気があるのかを見分ける手段は店側にはない。大型商品の不在より、こちらのほうが深刻な問題だろう。

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