では、どうすればよいのか。深刻な人員不足を解消するために、世間並みもしくは世間の相場以上に時給を上げるというのは当然の策としても、それには限度がある。ましてや採用広告や人材紹介に多額の費用を掛けても、本質的にはまったく意味がないことは自明だ。
一部の外食チェーンで採っている方策は、他の業界でも参考になるかもしれない。外食チェーン「東京レストランツファクトリー」では、実業団バスケットボールチームと劇団を所有している。働きながらバスケを続けたい、または演劇を続けたい人材を確保することを思いついたわけだ。
また、居酒屋を運営するチムニーでは、それまで髪を染めることは禁じていたが、客が不快にならない程度ならOKとしたところ、応募が2倍以上になったという。若い人は「今のうちにおしゃれを楽しみたい」という気持ちが強いのだろう。集まったアルバイトの人たちは明るく積極的な人材で、店に活気をもたらしているそうだ。
もっと汎用的かつ本質的なのは、ユニクロを経営するファーストリテイリングやうどん・そばチェーンのグルメ杵屋が採用した、パートやアルバイト店員らを、短時間勤務(非転勤)を想定した正社員とする施策だ。社会保障費の負担を勘定に入れると、確実に人件費が大幅に上がるが、安定した雇用関係によりスタッフの忠誠心、ひいてはサービス品質が目立って向上するし、それまで空回りしていた採用に絡むコストは相当圧縮できるようになるため、トータルで考えればコストは安くなる。
しかし、こうした手段がどうしても難しい店や業種もあるだろう。そういった場合はどうすべきなのか?
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