ここ数日、ミクシィ(2121)の株価がストップ高張り付き……といったら驚かれるだろうか。2013年9月には1200円前後だった株価は、2014年5月16日現在7850円まで急上昇している。同社は7月1日に1対5で株式分割を行う予定で、これも株価に好感している。
5月14日、ミクシィは決算発表会を行い、2014年3月期の連結業績を発表した。売上高は121億5000万円(前年同期比−3.8%)、営業利益は4億8000万円(前年同期比−81.3%)と通年ベースでは減収減益だが、黒字に転換。注目すべきは第4四半期の数字だ。2014年1〜3月の数字を見ると、売上高は57億9800万円(第3四半期は23億7700万円)、営業利益は9億9000万円(第3四半期は1億1100万円の赤字)と大幅に増収増益しているのである。
第4四半期の好調ぶりを受けて、業績予想も上方修正している。2014年度上期の売上高は195億円、営業利益は46億円、通期ではそれぞれ400億円、100億円という業績予想。2013年度上期売上高は39億7500万円だから、実に昨年度実績比で390%という非常に強気な予想になっている。
なぜこんなに第4四半期の売上が急増したのか? SNS「mixi」が急に人気を吹き返した……わけではない。スマホ向けゲームアプリ「モンスターストライク」が絶好調なのだ。2013年度第4四半期の売上57億9800万円のうち、実に31億1300万円をモンスターストライクが稼ぎ出しているのである。
モンスターストライクは、キャラクターを引っぱってはじき、ガチャを引いてモンスターを育てるというアクションゲーム。2013年10月から配信を開始して、半年でユーザー600万人を突破(4月27日)。5月14日には海外展開の第1弾として台湾版モンスターストライク(「怪物弾球」)の提供も開始した。5月15日にはガンホーの「パズル&ドラゴンズ」を抜き、App Store売上ランキングで初めて1位になっている(参照記事)
決算説明会に登場した執行役員の森田仁基氏は、モンスターストライクについてこう説明する。「初めは口コミで広がっていったが、3月からはテレビCMを開始した。また、YouTubeやニコ生でプレイ動画を流すなど、Webプロモーションも行っており好調。ダウンロードランキングも安定して上位を推移している。2014年度は大きなチャレンジとして海外展開を進める。その第一歩が台湾」
森田氏はゲーム事業本部長で、モンスターストライクを手がけた人物だ。現社長の朝倉祐介氏に代わり、6月末の株主総会後には新しく社長に就任することが内定している。社長就任後は人事部門長を兼任し、社内の人員を機動的かつ適材適所に配置していく、と話す。
実際、すでに人員の配置変更は始まっている。2013年7月には社員の56%がmixi事業に携わっていたが、2014年3月には43%に減少。モンスターストライクなど新規事業に人員を振り分けた。「売上は下がったが、このおかげで(2013年3Q以降、営業)利益率はアップしている」(森田氏)
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