ミクシィ株、連日ストップ高の理由は……大逆転、なのか(1/3 ページ)

» 2014年05月16日 19時50分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]
ミクシィの株価グラフ(出典:msnマネー)

 ここ数日、ミクシィ(2121)の株価がストップ高張り付き……といったら驚かれるだろうか。2013年9月には1200円前後だった株価は、2014年5月16日現在7850円まで急上昇している。同社は7月1日に1対5で株式分割を行う予定で、これも株価に好感している。

 5月14日、ミクシィは決算発表会を行い、2014年3月期の連結業績を発表した。売上高は121億5000万円(前年同期比−3.8%)、営業利益は4億8000万円(前年同期比−81.3%)と通年ベースでは減収減益だが、黒字に転換。注目すべきは第4四半期の数字だ。2014年1〜3月の数字を見ると、売上高は57億9800万円(第3四半期は23億7700万円)、営業利益は9億9000万円(第3四半期は1億1100万円の赤字)と大幅に増収増益しているのである。

 第4四半期の好調ぶりを受けて、業績予想も上方修正している。2014年度上期の売上高は195億円、営業利益は46億円、通期ではそれぞれ400億円、100億円という業績予想。2013年度上期売上高は39億7500万円だから、実に昨年度実績比で390%という非常に強気な予想になっている。

2013年度第3四半期と第4四半期の比較(出典:ミクシィ)

 なぜこんなに第4四半期の売上が急増したのか? SNS「mixi」が急に人気を吹き返した……わけではない。スマホ向けゲームアプリ「モンスターストライク」が絶好調なのだ。2013年度第4四半期の売上57億9800万円のうち、実に31億1300万円をモンスターストライクが稼ぎ出しているのである。

スマートフォン用ゲーム「モンスターストライク」。近くにいる人と一緒にプレイできるのが大きな特徴

スマホ向けゲーム「モンスターストライク(モンスト)」が人気

モンスターストライクのユーザー数は半年で600万人を超えた

 モンスターストライクは、キャラクターを引っぱってはじき、ガチャを引いてモンスターを育てるというアクションゲーム。2013年10月から配信を開始して、半年でユーザー600万人を突破(4月27日)。5月14日には海外展開の第1弾として台湾版モンスターストライク(「怪物弾球」)の提供も開始した。5月15日にはガンホーの「パズル&ドラゴンズ」を抜き、App Store売上ランキングで初めて1位になっている(参照記事)

 決算説明会に登場した執行役員の森田仁基氏は、モンスターストライクについてこう説明する。「初めは口コミで広がっていったが、3月からはテレビCMを開始した。また、YouTubeやニコ生でプレイ動画を流すなど、Webプロモーションも行っており好調。ダウンロードランキングも安定して上位を推移している。2014年度は大きなチャレンジとして海外展開を進める。その第一歩が台湾」

2014年5月14日からは、台湾版モンスターストライクの配信が始まった(出典:ミクシィ)

 森田氏はゲーム事業本部長で、モンスターストライクを手がけた人物だ。現社長の朝倉祐介氏に代わり、6月末の株主総会後には新しく社長に就任することが内定している。社長就任後は人事部門長を兼任し、社内の人員を機動的かつ適材適所に配置していく、と話す。

 実際、すでに人員の配置変更は始まっている。2013年7月には社員の56%がmixi事業に携わっていたが、2014年3月には43%に減少。モンスターストライクなど新規事業に人員を振り分けた。「売上は下がったが、このおかげで(2013年3Q以降、営業)利益率はアップしている」(森田氏)

mixi事業のスタッフを、社員の56%から43%へ減らした(左)。モンスターストライクなどの新規事業に振りわけることで、利益率が向上したと説明(右)
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