――これだけの組織でモノカルチャーを維持しようとすれば、リーダーに求められる役割も重くなりそうですが……
安渕: GEには「全員がリーダーになる」という明確なミッションがあります。つまり、誰もがリーダーシップを学べば、身に付けられることを大前提としている。リーダーとはどういう人材なのかも明確に定義されています。それが5つの要素で構成される「グロースバリュー」です。
リーダーに必要とされるバリューは時代によって変化していますが(例えば、4E――Energy、Execution、Edge、Energizeはジャック・ウェルチの時代のバリューだった)、現在は5つの要素から構成されています。これは社内130人のリーダーについて、本人とその関係者(同僚や上司、顧客など)にインタビューして抽出したものです。
こうした行動規範は、標語として壁に飾っておしまい……ということも珍しくありません。しかしGEでは、業績と組み合わせる形で、このグロースバリューも人事評価に組み込まれています。その比重は50%と大きく、いくら業績がよくても、グロースバリューを備えていなければリーダーとしては不適格、ということになる。
――リーダーとして成長するための研修プログラムでは、世界中からそういった評価を受けた適格者が集められるそうですね。
安渕: 世界中にあるGEグループ企業の、製造から経理までさまざまな部門のリーダーが米国のクロトンビル(Crotonville、GEの研修施設がある)に集まり、約10名のチームで3週間、与えられた課題について夜遅くまで議論を重ねます。そのチームメンバーは社内におけるネットワークになり、自身の視野を広げてくれるでしょう。その後のビジネスキャリアを歩む上でも、大きな支えになります。
この研修はトップのコミットメントが非常に大きいことも特徴です。現CEOのイメルト(ジェフリー・イメルト氏)はほとんどの研修に必ず顔を出し、参加者と直接会話を交わします。この規模の会社では非常に珍しいと思いますが、研修や社員のスキルとネットワーク構築に対して、トップも本気だと態度で示している。彼らマネジメント層は毎週必ずクロトンビルに足を運びます。業務の30%以上をこうしたトレーニングへに投じているのです。
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