都市部への出店、カニバリ……丸亀製麺が抱える問題、どうするのか?社長が語る(1/2 ページ)

» 2014年06月06日 15時35分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 クルマで幹線道路などを走っていると、大きな看板が目につく。白地に黒で「丸亀製麺」。ショッピングモールのフードコードで行列ができているお店がある。どこかな? とのぞいてみると、ここにも「丸亀製麺」。

 10年ほど前、全国に「讃岐うどん」ブームが広がり、セルフ式スタイルが定着した。今でもたくさんの人に親しまれている讃岐うどんだが、出店競争によって、気づいたら自社同士の店舗が売り上げを食い合っていた……いわゆる“カニバリ”は起きていないのだろうか。また、牛丼チェーンの「すき家」や居酒屋チェーンの「和民」は、深刻な人材不足に悩まされている。同じ飲食業として、丸亀製麺も人材難に落ち入っていないのだろうか。

 6月5日、丸亀製麺の新商品発表会の席に、詰めかけた記者たちは「カニバリ」と「人材難」――この2つに注目した。現在も店舗数を増やし続けている株式会社トリドールはどのような戦略で挑むのか。同社の粟田貴也社長が語った。一問一答形式で紹介する。

丸亀製麺の多くは、地方のロードサイドにお店を構える

カニバリは解消できたのか

――トリドールは2015年3月末までに、国内1000店舗、売上高1000億円を目指されていますよね。現在(6月5月時点)は777店舗ですが、自社同士の利益を食い合う……いわゆる“カニバリ”は起きていないのでしょうか?

トリドールの粟田貴也社長

粟田: 既存店の客数をみると、前年割れが続いている。原因は「カニバリ」。ただ、利益は出ている。丸亀製麺はこれまで地方のロードサイドを中心に出店してきたので、都市部や商業施設にはまだまだ出店していないところがたくさんある。今後は、そうしたところを攻めていきたい。

――丸亀製麺は店内に製麺機を置いて、そこでうどんを打って、茹でています。都市部に出店するとなると、スペースの問題がどうしても出てくるのではないでしょうか。広いスペースを確保するとなると、家賃が高くなりますよね。

粟田: それが一番の悩み。お店の中でうどんをつくっている……いわば“工場付き店舗”のような形なので、どうしても広いスペースが必要になってくる。丸亀製麺の最小店舗は28坪。ちなみに、競合他社は10数坪で運営されているが、その広さだとウチではできない。ただ、30坪ほどのスペースがあれば、店舗を運営することができる。都市部は家賃が高いので、かなりの制約がある中で出店していかなければいけない。

――カニバリは解消されていくのでしょうか。それとも仕方がないのでしょうか。

粟田: 赤字店が増えているようであれば、業態転換も考えなければいけない。または、スクラップ&ビルドをして立て直しを図っていかなければいけない。カニバリが起きているので、近隣店舗同士が利益を食い合っているが、お店が成り立たないような状況ではない。

 例えば、埼玉県ふじみ野市の近隣に、丸亀製麺が4店舗あった。ここは新店舗を出店するたびに既存店の売り上げが減少していたので、2013年末にふじみ野店を「コナズ珈琲」に業界転換した。ふじみ野店は赤字ではなかったが、「カニバリをしているお店で業態転換をした場合、どうなるのか?」ということを知りたかった。店をたたむというのは忍びなかったが、新しく誕生した「コナズ珈琲 ふじみ野店」の売り上げは伸びているので、よかったと思っている。

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