世界一になるとはどういうことか――答えは、まだ出ていない上阪徹が探る、リクルートのリアル(4/4 ページ)

» 2014年06月13日 00時00分 公開
[上阪徹,Business Media 誠]
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リクルートのよさ

 改めて今、リクルートのよさはどんなところにあると考えているのだろう。

 「一人ひとりが責任と権限を持って仕事ができるところだと思います。まさに、それが当事者意識を強くする。自分がこうしたいんだ、という意思を持つためには、ある程度、任せられないとシラけてしまいます。役員から新入社員まで、全員がそういう機会に恵まれていると思っています」

 では、何がそうした空気を作り上げているのか。

 「人こそが価値の会社だ、ということだと思います。だから、一人ひとりの可能性に賭ける。そこのがんばりがないと、事業自体が立ちゆかなくなると思っているから。仕組みやシステムだけでは勝てないんです。すぐに競合が出てきますから。一人ひとりの成長の積み重ねこそが、会社の成長につながると、創業以来、信じている会社なんだと思います」

 今村氏は、こうしたカルチャーの中で自らを成長させてきた。

 「リクルートで得られたことは、ひとつは経営をするスキルだと思っています。テクニカルなスキルもそうですが、人や組織をマネジメントするスキルもそうです。でも、何より思うのは、経営は、やっぱり社会に貢献する力だ、ということです。そのために手段としてもうけないといけないし、人を育てないといけないし、新しい事業を生み続けなければいけない。これこそまさに、経営理念で掲げていることですけどね」

 世界一になるとはどういうことか、経営陣の間で引き続き議論を続けているという。もとより世界一になることそのものが、目的ではない。それは手段である。それが分かっているからこそ、簡単には結論は出せないのだろう。リクルートは、まったく新しいステージに向けて、走り出している。

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