それでも私は「新函館北斗」という駅名を残念に思う。その理由は「北斗」ではない。「新」である。
「北斗」があれば「新」はいらない。「新函館」は「函館と同じでは困る」から「新」が必要だ。しかし、「函館」と「函館北斗」は明確に判別できる。「新」は不要だ。
なぜ「新」が残念か。もう一つの理由は、日本語のリズム感に沿わないから。日本語は基本的に、7音または5音のリズムでできている。短歌、俳句、川柳など、日本人は7音5音のリズムを大切にしてきた。「函館北斗」は「はこだてほくと」で7音だ。そこに「しん」を付けると、どうも据わりが悪い。だから「新函館北斗」を会話で使う機会は減り、きっと北斗は省略される。「新幹線で函館へ行くよ」「新函館から乗り継いで札幌へ行く」となる。
この駅はどんな駅名にしても、実際は「函館」「新函館」と呼ばれるだろう。しかし、「新」がないほうが、北斗市にとってはマシな結果になるはずだ。「函館北斗」なら7音で言いやすいから、ちゃんと呼んでくれる人も多かろう。見方を変えると「新函館北斗」という駅名は、函館にとって勝利だ。「新」が付いたせいで「北斗」を切り捨てやすくなった。そこに北斗市は気付いているだろうか。
「新函館北斗駅」は現在の函館本線渡島大野(おしまおおの)駅に建設中。在来線の駅に平行して新幹線の駅が作られる。在来線の駅も新函館北斗駅に改名予定。北斗市は駅前の再開発に取り組んでいる。(出典:北斗市Webサイト)
新函館−東京は最短4時間10分、北海道新幹線の車両は「はやぶさ」型
なぜJR北海道でトラブルが続くのか
JR北海道不祥事で明るみに出た「鉄道部品コレクション」とは
「竜飛海底駅」が教えてくれた、新たな“商機”
杉山淳一の+R Style:第42鉄 海底駅、連絡線、昭和の記憶――津軽海峡の今昔を訪ねるCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング