もう決まってしまった駅名に異議を唱えても仕方ない。開業準備に水を差しても大人げない。このままでは本記事はタダの愚痴になってしまう(苦笑)。そこで「名付けの技術」「7音5音のリズム」について考察してみよう。
私の世代の鉄道ファンなら、次に挙げる駅名を知っているはずだ。
これらは地域も鉄道会社も異なるけれど、認知度は高い。その理由は「日本一長い駅名になった時期がある」である。
もちろん今はもっと長い駅名がある。では、現在の日本一長い駅名をスラスラと言えるだろうか。正解は南阿蘇鉄道の「南阿蘇水の生まれる里白水高原駅」と、鹿島臨海鉄道の「長者ヶ浜潮騒はまなす公園前駅」である。どちらもひらがなで22文字。漢字交じりでは「南阿蘇水の生まれる里白水高原駅」が1文字多い。長すぎるし、リズム感もない。だから覚えにくい。
実は、2001年から2007年まではもっと長い駅名があった。一畑電鉄の「ルイス・C.ティファニー庭園美術館前駅」だ。ただし、駅名となった美術館が閉館したために改名され「松江イングリッシュガーデン前駅」となった。どちらにしても覚えにくい。おそらく、駅周辺の人からは単に「あそこの駅」などと言われているだろうし、利用者も略して呼んでいるだろう。
長い駅名の記録はとっくに更新されている。それでも「西線9条旭山公園通」「岩原スキー場前」「蒲郡競艇場前」は記憶に残る。その理由は、これらの駅名が7音5音で構成されているからだ。
札幌市電の「西線9条旭山公園通」は「にしせんくじょう あさひやま こうえんどおり」で「7音+5音+7音」だ。「岩原スキー場前」はJR東日本の上越線にある。「いわっぱら すきーじょうまえ」で、「5音+7音」だ。名古屋鉄道の「蒲郡競艇場前」は「がまごおり きょうていじようまえ」で、こちらも「5音+7音」である。これらの駅名はリズム感が組み合わさって記憶に残りやすい。
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