コンビニが、何度も「おにぎり100円セール」を行うワケご一緒に“おでん”いかがですか(3/3 ページ)

» 2014年07月03日 08時00分 公開
[川乃もりや,Business Media 誠]
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「おにぎり100円セール」を行う、本当の意味

 冒頭で、「おにぎり100円セール」を展開するタイミングの話を紹介した。「長期休暇や連休〜〜」「梅雨時期〜〜」といった時期にセールを行うと、お客さんの来店動機になる――と書いたが、これには建前の意味も含まれている。より正確に書くと、競合対策もあるのだ。

 セブン-イレブンは莫大なお金を使って、どうすればお客さんが店に来てくれるのか――といったことに、かなりチカラを入れている。「おにぎり100円セール」以外にも、さまざまなキャンペーンを仕掛けることで、お客さんを“習慣付け”しているのだ。

 みなさんもこんな経験をしたことはないだろうか。「あれ? なんでオレ、コンビニに来てるんだろう?」――。

 特に買うモノがないのにもかかわらず、仕事帰りに寄ってしまう。お客さんの中には、明確な動機がないのにもかかわらず、ついついコンビニに寄ってしまう人がいる。

 これは筆者のお店の数字だが、総来店者のうち、おにぎりを購入するのは2割前後。「100円セール」を展開すれば、その数字は増える。おにぎりを値下げしたからお客さんが増える……というわけにはなかなかいかないが、普段はパンを買っているのに「今日はおにぎりが安いので、お昼はこれで」という人が多いように感じる。「ふむ、ふむ。オレもそういうときがあるよ」という人もいるだろうが、コンビニにとってはこれが重要なのだ。

 「ん? どういうこと?」と思われるかもしれないが、「パンを買う」という目的があったのに、そこで意外なことに遭遇する。こうしたことを何度も経験することで、「あのコンビニに行けば、また意外なことがあるかも」という気持ちになり、気がつけばお店にいる……。このように知らず知らずのうちに、自分の中に“習慣性”が育まれているのだ。

 セブン-イレブンは何度も何度も「おにぎり100円セール」を展開することで、お客さんに“店に行く”という習慣性を定着させてきた。この作戦によって、売り上げがアップしたセブン-イレブンのオーナーはホクホク顔だろうが、競合他社のオーナーからこんな嘆きの言葉が聞こえてきそうだ。「なんでウチもやってくれないんだよう」――。

(出典:ファミリーマート)
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