「ネットダフ屋を締め上げろ」──鉄道業界はなぜ無策なのか杉山淳一の時事日想(4/5 ページ)

» 2014年08月01日 08時00分 公開
[杉山淳一Business Media 誠]

物価統制令で、買う側も処罰すべきか

 指定券のネットオークション転売を根絶するにはどうすればいいか。まずは出品者の手段を奪う方法を考える。早い話、ネットオークションサイトが規約でチケットの出品を禁止すればいい。ネットオークションサイトに「場所を提供するだけで、出品物を一つひとつチェックできない」なんて言わせない。自らのサービス内容と実態を把握できないなら、ネットオークションどころか、サービス業を運営すべきではない。

 法的な整備も必要だ。ダフ屋行為禁止条例の「公共の場所における行為」の「公共の場所」の解釈をインターネットにも広げるべきだ。インターネットが「公」であるか否かは、すでに数々の名誉毀損の事例ではっきりしている。名誉毀損は「公然と事実を摘示し、人や企業の名誉を毀損すること」と定義されている。インターネットで名誉毀損が成立するからには、インターネットは「公然と」に含まれていることになる。インターネットが公共の場所なら、ネットオークションも同様である。そうでなければ、日本の法律における「公」の解釈がダブルスタンダードになってしまう。

 また、迷惑防止条例などというゆるい制度ではなく、積極的に「物価統制令(関連リンク参照)」を適用すべきだ。物価統制令は戦後に作られた法律で、物価を安定させて経済秩序を安定させる目的があった。要するに闇市根絶のための古い法律だ。しかし現行法である。前述したように、この法律は不当価格による売買を禁じている。売る方だけではなく、買う方も処罰対象だ。チケットのダフ屋行為は経済秩序を乱している。適用は当然である。

photo 比較的駅などの窓口でチケットを取りやすくなったカシオペアのツイン。ただ、これもネットオークション出品者の収入源となることもある

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