民間気象情報会社のウェザーニューズは、アメダスなどの気象観測機によるデータに、全国に30万人以上いる会員から収集したデータを加え、スーパーコンピュータで分析するという取り組みを進めている。
2008年から結成されたゲリラ雷雨防衛隊では、「怪しい雲を発見した」「風が冷たくなってきた」といった感覚的な情報を“感測”データとして分析に取り入れている。最近ではケータイやスマートフォンで撮影した写真を画像解析する手法を新たに採用し、より精度を高めようとしている。
皆さんが日々使っているであろうGoogle検索。これにも意外な使い方がある。Googleはインフルエンザが流行っている地域で、ある特定キーワードの検索数が増加することに着目し、集計データと地域を組み合わせ、インフルエンザの流行を予測する「インフルトレンド」(参照リンク)というサービスを公開している。
このほかにも、特定のキーワードを検出して、デング熱など他の感染病にも応用する研究を進めている。この取り組みの狙いについて、Googleは「病気発生の早期発見は感染者数の減少につながる。最新のデング熱流行予測データにより、公衆衛生当局や医療従事者は季節的な流行に対して、より適切に対処することができる」と説明している。
ビッグデータは選挙に“勝つ”ためにも使われるようになった。2012年に行われたアメリカの大統領選では、再選を目指すオバマ大統領が有権者の行動心理を分析するため、個人情報に加え、投票歴、募金歴などを用い、限られた時間でより効果的に資金を集めることができたという。
さらに、選挙行動についても数万通りのシミュレーションを行い、どんな有権者に対してどのようにメッセージを発し、アプローチをすればいいか検討を重ねた。そのプロジェクトでデータ分析のチーフ・サイエンティストを務めていたのは、データマイニングの専門家であるライド・ジャニイ(Rayid Ghani)氏だ。彼はスーパーマーケットで消費者心理分析を行ってきた経歴の持ち主。オバマ再選の裏にはデータによる“勝ち計算”があったのである。
このように、ビッグデータの活用範囲は広がる一方だ。しかしその半面、ビッグデータ活用のネガティブな面も指摘され始めている。顕著なのは、ビッグデータでプライバシーが“丸裸”になるのではないか、という懸念だ。
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