30年以上にわたり生活者を研究し続けてきた「博報堂生活総合研究所(生活総研)」。同研究所の主席研究員である吉川昌孝氏が、さまざまなデータを独自の視点で分析し「常識の変わり目」を可視化していくコラムです。世の中の変化をつかみたいビジネスパーソンに新たなモノの見方を提供します。
キミに夢中。夏本番の8月、みなさんいかがお過ごしですか? 昨年2013年は猛暑を通り越して“酷暑”でしたが、今年も暑さはあまり変わりませんね。「どうも毎年暑い日が続いているな」「そういえば、暑い日が続く期間が長くなった気がする」なんて思いませんか? 今回は1970年までさかのぼり、夏日(最高気温が摂氏25度以上の日)を調査してみました。
確かに夏日は増えていました。変わり目は1994年です。この年に初めて夏日が120日を超えたのです。つまり1年の3分の1が夏になったということ。この年を境に、暑さは文字通りヒートアップします。1994年から2013までの20年で夏日の120日越えは計10回。なんと2年に1度は、夏日が4か月間も続いたのです。
それに呼応するかのように、夏の風物詩も様変わりしています。1994年までは暑い日の日数がそれほどでもなかった(平均100日前後=3カ月強)こともあり、暑い日はとにかく冷やして難を逃れる方法が一般的だったと思われます。電車もお店も、屋内はどこもかしこもキンキンに冷えていました。寒すぎる──と「弱冷房車」が登場したのは1984年の京阪電車から。ただこの頃は、ともあれ涼しい方がいい、くらいに思っていたのではないでしょうか。
ところが1990年代に入ると「冷房病」という呼称が生まれました。正式な病名ではありませんが、室内と室外とで寒暖差がありすぎる影響で体調を崩す人が社会問題になりました。これまでもガマンしていたのでしょうが、女性を中心に真夏でもオフィスではカーディガンなどを羽織ったりすることが普通になっていたのもこの頃です。確かに1998年から2001年までは4年連続で夏日が120日を突破しました。クーラーの設定温度がますます低めに設定されていっても仕方のない暑さでした。
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