現在各社が販売しているビールは、大きく「ビール」「発泡酒」「新ジャンル(いわゆる、第3のビール)」の3つに分けられる。キリンビールの場合、各カテゴリの主力商品は以下の通りだ。
カテゴリ | 主力商品 |
---|---|
ビール | キリン 一番搾り、キリン ラガービール |
発泡酒 | 麒麟 淡麗〈生〉、淡麗グリーンラベル |
新ジャンル | のどごし〈生〉、澄みきり |
もともと発泡酒は、「ビールより安い」ということで値段の安さに注目が集まることが多かった。しかしさらに値段が安い新ジャンルが登場し、そちらに注目が集まるようになる。しかし、キリンビールではずっと発泡酒の開発を続けてきたという。
「キリンでは、ずっと発泡酒の技術開発を続けてきました。実は発泡酒というのは、とても面白いカテゴリなんです」(久保さん)
第3のビールは原材料や製法の制限が厳しく、開発の自由度が低い。これに対し、制約が少ない発泡酒は自由度が高く、新しい技術を取り入れたり、原材料を工夫したお酒をつくったりしやすい面白さがあるのだ。
淡麗プラチナダブルとは、どのようなお酒なのだろうか。
「淡麗シリーズはこれまでも『ビールに近いおいしさ』を追求してきた発泡酒です。シリーズのコンセプトは『うまさを磨き続ける』。基幹商品の「麒麟 淡麗〈生〉」は、1998年の発売以来7回も味をリニューアルしています。新商品の淡麗プラチナダブルでも、『プリン体0.00、糖質も0、だけどビールに近いおいしさ』を実現している。ここが最大の特徴です」(久保さん)
技術的には、プリン体をカットすることそのものはそれほど難しくない、と久保さんは話す。キリンでは2009年からプリン体を99%カットした淡麗Wを販売しているが、最後の1%をカットし、さらにおいしさと両立するところが最大の難関だったという。そして今回0.00を実現したのが、「プリン体カット製法」という世界初、キリン独自の特許技術だ。
プリン体をカットした発泡酒を作るには、大きく2つの方法がある。1つはもともとプリン体が少ない原料を使ってつくる「低プリン体原料製法」。もう1つはビールと同じ原材料を使って造り、あとからプリン体を抜く「プリン体除去製法」という方法だ。プリン体カット製法は、後者のアプローチに当たる。
「プリン体カット製法というのは、発泡酒にプリン体を除去する吸着剤を入れ、うまさを残しながらプリン体だけを吸着させて取り除く方法。こうすることでビールに近い味わい、発酵由来の複雑なおいしさが実現できるんです。
プリン体カット製法の原点は、2000年発売の『クリアブリュー』という、透明な発泡酒です。クリアブリューは、醸造したお酒に吸着剤を入れて色を抜く、という作り方だったんですね。吸着剤を入れると、色だけじゃなくプリン体も抜ける……これに気付いてできた、ある意味偶然の産物ともいえるのが、プリン体カット製法なんです。プリン体カット製法を初めて使ったのが、2003年の『淡麗アルファ』。ビール類で初めて、プリン体カットに成功した商品でした。今回新発売の淡麗プラチナダブルでは、プリン体99%カットを実現していた『淡麗W』の技術をさらに進化させて、プリン体カットに成功しました」(久保さん)
プリン体を減らすのと同時に、糖質を抑えた発泡酒の研究も進んでいた。「淡麗グリーンラベル」は糖質70%オフという商品。こちらは2002年発売のロングセラーで、2013年には20.7万キロリットル売れており、キリンの発泡酒の中でも2番目の販売量を誇る。
糖質ゼロの発泡酒としては2007年に「麒麟ZERO」を発売、現行商品の「キリンゼロ〈生〉」に続いている。こちらは「糖質がゼロ、発泡酒で最も低カロリー(100ミリリットルあたり19キロカロリー)」をうたった商品だ。
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