30年以上にわたり生活者を研究し続けてきた「博報堂生活総合研究所(生活総研)」。同研究所の主席研究員である吉川昌孝氏が、さまざまなデータを独自の視点で分析し「常識の変わり目」を可視化していくコラムです。世の中の変化をつかみたいビジネスパーソンに新たなモノの見方を提供します。
先日(9月15日)の敬老の日、「日本は、65歳以上が全人口の4分の1」になり、「75歳以上は、8人に1人」であると統計値を伝える報道を多く見かけました。高齢化がこのまま進むと、2023年──これから9年後に、日本は「全人口の過半数が50歳以上になる」と予想されています。
その後も、この比率はどんどん高まります。2033年には55%を超え、2060年には6割弱にまで拡大すると予測されています。
「人間五十年」、かの武将 織田信長の言葉があります。戦後間もない1947年の男女別平均寿命は、男性が50.06歳、女性が53.96歳。確かに日本人の寿命はつい最近まで、この言葉通り50年くらいでした。ちなみに、明治や大正時代までさかのぼるとそれは40歳代でした。
それがもう、過半数が50歳以上に。飛躍的な速度で日本人は長生きになったことになります。平均寿命が50歳のころにできた年金制度が現状と合わないのも、仕方ないことかもしれません。
ちなみに、平均寿命が男女とも60歳を超えたのは1951年。70歳を超えたのが1971年。そして昨年2013年、日本人は男女ともに80歳を超える長寿国になりました。
このように高齢化が急激に進むと、社会での主役の座も交代していくのでしょう。私たち(博報堂生活総研)が隔年で実施している「生活定点」調査で、「若者が主役の世の中だと思う」と答えた割合がどう変わったと思いますか? 1998年の20.4%から、2014年は12.6%と、なんと約8ポイントも落ちました。以後も低落傾向にあるとみています。
本当に、高齢者の存在感は大きくなっているのでしょうか。
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