本連載は、米山公啓著、書籍『脳を強くする56の習慣』(中経出版)から一部抜粋、編集しています。
最近、うっかり用事を忘れることが増えた、発想がどうもマンネリだ――あなたにも心当たりはありませんか?
「自分はまだまだ大丈夫」と思っていても、家族や周りの人が認知症や脳梗塞になった途端、他人事ではすまなくなります。
では、「強い脳」とは何でしょうか? 記憶力や集中力が高く、さらには豊かな創造性を発揮する脳のことをいいます。まずは動脈硬化にならない、健康であることが「強い脳」への第一歩です。
本書では医学博士の米山公啓氏が、最新の知見をもとに脳を「強くする」習慣を紹介します。
「1日3杯のコーヒー習慣」「新作映画を映画館で観る」などの、強い脳をつくる、日常生活でちょっとひと工夫すれば実践できるものばかりです。さあ、あなたも今日から始めてみませんか。
脳の中ではさまざまな物質が脳を守ったり、活性化させたりしています。その物質の1つが、BDNF(脳由来神経栄養因子)です。
脳を元気にするには、脳神経細胞同士のつながりを増やすことがもっとも大切です。もっと言うと、増やすというより育てていくイメージです。そのとき、肥料のような役目をするのがBDNFです。実験的にも、神経細胞にBDNFを作用させると、神経細胞が成長していくことが証明されています。
BDNFは神経細胞同士の信号を強くすることも分かっています。さらに神経細胞に作用して、脳内で必要な神経伝達物質をもっと作るように指令を出すのです。
では、このBDNFを増やすにはどうすればいいでしょうか。マウスの実験で、走るマウスと走れないようにしたマウスとでは、走ったマウスでBDNFが増えて、長く走ったマウスほどその量が多かったのです。とくに海馬(かいば)で著しく増殖しました。運動をさせると、マウスの学習機能がアップすることもこれで証明できます。さらに、運動によって海馬が大きくなることも証明されています。
米国の運動ガイドライン2008年版では、早歩きを1日30分、週5回以上、30分の筋トレを週2日行うように推奨しています。人間も、運動後のほうが20%も早く単語の記憶ができることが分かっています。つまり適度な運動が脳を刺激して、記憶力もアップしていくわけです。
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