なぜLINEの「既読スルー」にイラッとするのか コンセンサスなき紛争烏賀陽弘道の時事日想(5/5 ページ)

» 2014年12月04日 08時00分 公開
[烏賀陽弘道,Business Media 誠]
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「インターネット・デストピア」のもうひとつの姿

 固定電話が人々のコミュニケーションメディアの王座から降りると、そんな了解事項は「死語」になった。そして携帯電話が出てきて、ネットが普及して、SNSが出てきてと、まるでビッグバンのような猛烈なスピードで、コミュニケーション・メディアが増加した。その1つ1つに、小さなグループごとの「了解事項」が生まれ、それがないグループと摩擦や対立が起きる。インターネットによって、了解事項は解体し「大きな少数のグループ」から「小さな無数のグループ」に分裂していく。こうした現象は「社会のバルカン(半島)化」と呼ばれている。

 人間の思考や、あるいは合意や了解の形成よりはるかに早いスピードで、テクノロジーは進歩する。新しいサービスや機器が登場する。この「進化のスピードの速さ」ゆえに、インターネットは理解よりは誤解を、平穏よりは混乱を生むのではないか。これが「インターネット・ディストピア」のもうひとつの姿である。

SNSが普及した結果……さまざまな弊害も生まれている(写真はイメージです)
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