海外に広がる小林製薬の「熱さまシート」――成功の裏に何が起きていた?仕事をしたら“1億8000万枚”売れた(3/6 ページ)

» 2014年12月17日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

売り上げが伸びずに苦戦

秋田: マレーシアに限らず、海外では日本のように商品がきちんと並ぶことが難しいんですよ。どういうことかというと、日本ではドラッグストアの本部に行って、担当者と商談をして「採用」となれば、その後、商品は一斉に並びます。例えば、「1カ月後」ということであれば、ぴったり「1カ月後」にすべての店頭に並んでいます。

 しかし、マレーシアでは違うんですよ。ドラッグストアの担当者と商談して、「1カ月後に店頭に並ぶ」ということが決まっても、ぴったり「1カ月後」に並ぶことは難しい。A店では「1カ月後」でも、B店では「2カ月後」、C店では「3カ月後」といった感じなので、すべての店を確認して回らなければいけません。また、現地には日本のような大規模なドラッグストアは少なく、個人薬局が多い。なので、1軒1軒回って営業をしなければいけないので、現地の人に認知していただくのに時間がかかりました。

 あと、先ほどドイさんが指摘されましたが、現地の人は冷却シートを使ったことがありませんでした。なので「熱さまシート」がどういったモノなのか――それを理解していただくのに時間がかかりました。

 営業マンがドラッグストアに行って、商品の説明をしても「これって本当に効くの?」といった反応。また、マレーシアの人たちは「新しいモノをなかなか受け入れない」という特徴があるんですよ。なので、ドラッグストアや個人薬局でなかなか採用されませんでした。採用されて店頭に並んでも、お客さんはなかなか手にとってくれない……という悪循環が長く続きました。

 2000年代に入っても売り上げはなかなか伸びず苦戦していたのですが、2008〜2009年ごろになってようやく伸び始めました。

土肥: マレーシア市場に進出して、10年ほどが経過していますよね。なぜ、そのタイミングで売り上げが伸び始めたのでしょうか?

秋田: 「店の展開状況と広告の連動」がうまくいき始めたからですね。

土肥: 店の展開状況と広告の連動? どういうことでしょうか?

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